[I-MOR04-03] 成人先天性心疾患再手術における再開胸と人工心肺法の検討
Keywords:成人先天性心疾患, 再手術, 人工心肺
(目的)成人先天性心疾患(ACHD)再手術において、再開胸、人工心肺確立は手術の成否を決める重要な因子である。過去三年間のACHD再手術における再開胸、人工心肺の方法及び手術成績について検討。(方法)過去三年間のACHD手術は71例、再手術例は57例。疾患はファロー四徴症32例、フォンタン術後9例、修正大血管転位症4例、その他12例。(結果)手術時年齢は平均32.5歳(18―82歳)。再開胸は、初回35例、2回目12例、3回目8例、4回目2例。手術は大動脈基部置換3例、弁置換・弁形成は1弁:34例、2弁:12例、3弁:3例、、フォンタンコンバージョン5例、肺動脈形成11例、心外膜ペースメーカー留置8例。周術期合併症:脳合併症なし、止血再開胸1例、術後ECMO1例。再手術は4例で施行し、原因は、感染性心内膜炎1例、再弁形成1例、弁置換術2例。手術死亡なし、遠隔期死亡1例。再開胸方法)ほぼ全例、大腿動脈に人工血管縫着、大腿静脈に巾着縫合を置き再開胸していたが、最近では術前MDCT評価にて低リスクでは大腿動静脈穿刺のみ、高リスクでは人工心肺下(±LVベント)に再開胸施行。緊急人工心肺開始(再開胸時5例、剥離時1例)。人工心肺方法)上行大動脈送血、上下大静脈脱血し心停止下手術を基本であるが、19例は大腿動脈送血使用。大動脈遮断が困難な例では、心拍動下(14例)、心室細動下(3例)に手術。左上大静脈遺残例2例では頚部より脱血カニューラ挿入。フォンタンコンバージョン例では大腿静脈より脱血カニューラを挿入し、下大静脈と人工血管吻合が容易となった。(結語)術前MDCT等を用いたリスク評価による再開胸法、人工心肺の確立は重要であり、個々の症例に適した方法を選択することにより安全に手術を行えると考えられる。しかしながら、確立した方法は少なく、今後も経験の蓄積が必要である。