第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ミニオーラルセッション

集中治療・周術期管理

ミニオーラルセッション05(I-MOR05)
集中治療・周術期管理

2018年7月5日(木) 10:00 〜 10:35 ミニオーラル 第3会場 (313)

座長:長嶋 光樹(和歌山県立医大病院 第一外科)

[I-MOR05-04] 当院で経験した劇症型心筋炎の4例

下山 伸哉1, 新井 修平1, 浅見 雄司1, 石井 陽一郎1, 関 満1, 池田 健太郎1, 林 秀憲2, 友保 貴博2, 岡 徳彦2, 宮本 隆司3, 小林 富男1 (1.群馬県立小児医療センター 循環器科, 2.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科, 3.北里大学 医学部 心臓血管外科)

キーワード:劇症型心筋炎, 補助循環, システム

【背景】劇症型心筋炎は急速に循環が破綻する状態まで進行するが、先行症状は非特異的で初期の診断は困難である。当院は県内で乳幼児の補助循環を施行可能な唯一の施設であり、迅速な対応が求められる。【目的】2016年1月~2017年12月までに当院で経験した連続4例の劇症型心筋炎について考察を加え現在の問題点を検討する。【症例】症例1:4歳3ヶ月の女児。発熱を認め8時間後に嘔吐。嘔吐後150分で痙攣を認め前院に搬送された。心筋炎疑いで当院搬送中に心肺停止となり心肺蘇生を開始し、前院受診から150分程度で当院に到着した。開胸下ECMOを8日間導入したが重度な神経学的後遺症を認めた。症例2:8歳1ヶ月の女児。発熱・嘔吐を認め、その後約24時間で痙攣を認めた。前院に搬送され気管内挿管、心室頻拍に対し除細動等施行し、前院受診から150分程度で当院に到着。到着直後に心臓マッサージを要したが、非開胸下ECMOを6日間導入し神経学的後遺症なく現在登校している。症例3:1歳3ヶ月の男児。2日間の発熱の後多呼吸を生じ、その150分後に前院を受診し心機能低下を認めた。心筋炎疑いで当院搬送準備中(前院受診後90分)に痙攣、徐脈を呈し心肺蘇生を開始した。前院受診から150分後に当院に到着し、開胸下ECMOを11日間導入し一旦離脱したが重度な神経学的後遺症も認め、その後心機能低下があり死亡した。症例4:9ヶ月の男児。嘔吐から半日後に近医小児科を受診中に痙攣し胃腸炎関連痙攣疑いで前院に救急搬送予定となった。待合中に心肺停止となり前院に搬送され心肺蘇生を施行され、前院受診から160分程度で当院に到着したが改善なく死亡した。【結果】全例前院の受診開始から2時間半程度の間に当院に搬送されていたが、その間に全例気管内挿管を、75%で心臓マッサージを要す急激な悪化を認めていた。今回の経過の検討を元に早期に補助循環の可能な施設に搬送する地域の特性に合わせたシステムの構築が重要と思われた。