[I-MOR06-02] 動脈管依存性肺循環に対する両側肺動脈絞扼術の治療成績
Keywords:両側肺動脈絞扼術, 動脈管依存性肺循環, 動脈管依存性体循環
【背景】両側肺動脈絞扼術(bPAB)は,動脈管依存性体循環例(S群)のみならず動脈管依存性肺循環例(P群)に対しても新生児期の手術介入におけるリスク回避のために選択されることがある.【目的】当院でbPABを施行したP群の治療成績を検討した.【方法と結果】2008年1月から2017年12月までの10年間に施行されたbPAB症例の診療録を後方視的に検討した.bPAB施行例は26例で,S群は16例(HLHS 7例,HLHS variant 1例,CoA/IAA complex 8例),P群は9例(PAIVS 5例,PA,SRV 1例,Ebstein, functional PA 1例,TV dysplasia 1例,PA, unbalanced AVSD 1例),その他AP window 1例であった.P群の出生体重は2,818 g(中央値,以下同様)で,低出生体重児が3例,日齢1に脳梗塞を起こした例が1例見られた.bPAB施行日齢は6日,6例は術前にlipo-PGE1を使用しておらず,使用した3例におけるbPAB施行前のlipo-PGE1量は5.0 ng/kg/minであった.bPAB施行後は9例全例に平均 3.2ng/kg/minで投与した.術前PDA径はPA側3.6 mm,Ao側4.5 mm,術前後のSpO2はそれぞれ97.0,85.5 %で,窒素吸入例はなかった.2例が2心室修復,2例が1.5心室修復,2例がTCPCへ到達し,2例がTCPC待機中である.周術期にPA,SRV,polysplenia症例が急性循環不全に対しECMO装着となったが,術後5日目に死亡した.【考察と結論】動脈管依存性肺循環においては,lipo-PGE1の細かな調節や人工呼吸管理下でも肺血流調節が困難な症例が多い. bPAB術後は安定した肺血流調節が可能で,低出生体重児や心外合併症例で特に有効である可能性がある.