[I-OR02-02] Gd-EOB-DTPAを用いた造影MRIによるFontan術前の肝病変評価とその関連因子
Keywords:Gd-EOB-EDTA, FALD, Fontan
【背景】我々はFontan術後肝病変の評価法としてEOBを用いた造影MRI検査(EOB-MRI)の有用性を示し、肝病変がFontan術後早期から認められることを報告してきた。しかし、Fontan術前の肝病変に関しては不詳であり、EOB-MRIを用いてその評価を行うとともに関連因子を検討した。【方法】対象は当院において2013年から2017年にFontan手術前のEOB-MRI検査を施行した16例(男児8例、MRI施行時年齢:中央値1歳9ヶ月、範囲は1歳1ヶ月-5歳1ヶ月)。EOB-MRIによる肝病変評価で正常群と有所見群の2群に分け、Fontan手術前までの臨床経過、血行動態指標、Glenn周術期データ、及びFontan術後経過との関係を検討した。【結果】正常群10例、有所見群6例で、有所見群のMRI所見はいずれも肝末梢側における中心静脈領域の造影不良であった。姑息術の種類、ECMOやCHDF既往は所見の有無に関係せず、Glenn手術周術期データ、血液検査所見も両群で差は認めなかった。血行動態指標では心室拡張末期圧が有所見群で優位に高値(12.8±3.3 vs 7.4±1.3mmHg, p<0.001)であり、PA indexが有所見群で低い傾向にあった(164±62 vs 220±64mm/m2, p=0.111)。また、Fontan術後経過との関連では、有所見群でFontan術後CVPが有意に高値であり(13.8±0.5 vs 11.7±1.5mmHg, p=0.022)、有所見群のみPLE発症、Fontan術後早期死亡、重度心不全のためFontan未到達を各1例ずつ認めた。【考察】Fontan手術前においても肝病変を呈する症例が存在し、EDPの上昇がその病態形成に関与していると考えられた。また、Fontan術前の肝病変を有する症例は術後のCVPが高く、術後合併症の頻度が高いことが予想され、術前の肝障害の程度を詳細に評価することでFontan循環不全を予測できる可能性が示唆された。