[I-OR08-02] 重症川崎病急性期におけるステロイド初期併用療法不応例の予測
Keywords:重症川崎病, ステロイド初期併用, 不応例予測スコア
【背景】高リスク川崎病症例の中にはステロイド初期併用療法を行っても病勢を抑えきれない症例や、中には7病日頃すでに冠動脈拡大が進行する重症例も経験する。個々の病勢を早期より見極め、積極的な治療により冠動脈瘤合併を防ぐことが肝要である。【目的】ステロイド初期併用療法を行った高リスク症例で早期にその後の病勢を予測可能か検討すること。【方法】対象はIVIG不応例予測スコア3つとも満たしIVMP+PSL併用にて初期治療を行った高リスク川崎病41例。追加治療を必要としたA群20例、必要としなかったN群21例で治療開始2日後の血液検査所見を比較した。【結果】好中球数がA群でN群に比し有意に高値 (10722/μl vs 6946/μl, p<0.05)、CRP値がA群でN群に比し有意に高値 (4.97mg/dL vs 3.24mg/dL, p<0.05)だった。発症2ヶ月目まで冠動脈病変が残存した3例は好中球>12000/μlで発生し、うち半年以降も瘤が残存した1例は好中球 24930/μlと著明に高値だった。さらに初期治療前のIVIG不応例予測スコアの点数も加味し、ステロイド初期併用療法不応例予測スコアとして、治療前の小林スコア≧8;1点、江上スコア≧4;1点、佐野スコア≧3;1点、治療開始2日後の好中球≧12000;3点、CRP≧5.0;1点で、3/7点以上満たせば感度80%、特異度86%で更なる追加治療を必要とした。【考察】IVIG不応例予測スコア3つとも満たす高リスク症例は、初期治療前の各IVIG不応例予測スコアの点数と治療開始後2日目の好中球数、CRP値でその後の病勢が予測可能で、特に好中球数は冠動脈後遺症のリスクに比例する。