[I-OR08-04] 初回治療反応性によるIVIG+PSL併用療法不応重症川崎病の予測
Keywords:重症川崎病, IVIG+PSL併用療法不応, 変化率
【背景】RAISE studyにより重症川崎病に対するIVIG+PSLの初期併用療法の有効性が示されているが、IVIG+PSLに不応で追加治療を必要とする症例が存在する。IVIG+PSL治療の不応例を早期に予測することでより早期に代替治療を追加し、冠動脈病変の発生を抑制できる可能性がある。【対象と方法】2013年1月から2017年10月に当院で治療を行った重症川崎病患者(群馬リスクスコア5点以上)でIVIG+PSLの初期併用療法を行った38例を対象とした。診療録から血液検査結果(CRP、WBC、Neu、Ht、PLT、ALB、T-BIL、AST、ALT、Na)について、治療前値、および治療開始から24~48時間後の変化率について後方視的に検討した。【結果】IVIGおよびPSLのみで寛解に至った群(E群)が25例、代替治療(IFX、PE)を必要とした群(A群)が13例だった。男女比、月齢、リスクスコアに有意差は認めなかった。治療前値はASTがE群で92U/l[17~689]、A群で280U/l[33~1517]と有意に高値であった(p=0.0065)が、その他の項目については、有意差を認めなかった。初回治療後の低下率としては、CRPは治療前値に対してE群で59%[-21~84]、A群で56%[-14~86]と低下しており、両群で有意差なし。WBCがE群で26%[-89~100]低下し、A群で-17%[-219~30]とA群では増加していた(p=0.036)。ASTがE群で64%[-76~89]、A群では80%[15~97]とA群で有意に低下した(p=0.033)。※中央値[範囲]【考察】WBCの変化率は有意差をもってE群では低下ているのに対し、A群ではむしろ増加する症例が多かった。WBCの低下が速やかに得られない症例はIVIG+PSLに不応で、その他の追加治療を要すると考えられた。【結語】重症川崎病において、初回IVIG+PSL併用療法後にWBCの高値が遷延する場合は早期にIFXやPEなどの代替医療を考慮すべきである。