[I-OR08-06] 母体抗SS-A抗体陽性の先天性完全房室ブロックに合併する上行大動脈拡張の臨床像
キーワード:先天性完全房室ブロック, 上行大動脈拡張, 中期予後
【背景】母体抗SS-A抗体陽性の先天性完全房室ブロック(SSA-CCAVB)患者で上行大動脈拡張(aAoD)が合併する報告があるが、機序や長期経過などその詳細は不明である。【目的】当施設でのSSA-CCAVB患者においてaAoDの合併の有無、機序、経過について調査し、臨床像を明らかにすること【対象】当施設で2007年10月から2017年12月の間に新生児管理を行ったSSA-CCAVB9例。【方法】新生児期から直近まで心エコー所見を診療録より後方視的に抽出し、aAoDの合併の有無、経過を調査した。また、aAoD機序推定のため、1回拍出量や母体抗SS-A抗体値についても調査した。【結果】9例中、1例は重症両心不全で新生児期に死亡、5例は他施設で外来管理中、3例を当施設で外来管理中。新生児期の心エコーでは全例ST Junction(STJ)までは拡大していなかった。STJ以降を測定していたのは4例で、全例aAoDが見られた(中央値+4.45SD)。arch以降は全例拡大していなかった。新生児以降も当科で経過観察中の3例では、ペースメーカ治療とロサルタン内服を3例とも2年以上行っているが、直近の心エコー(2.7~5.7歳)ではaAoDは全例残存していた(中央値+3.8SD)。母体抗SS-A抗体値や1回拍出量とaAoDの関係ははっきりしなかった。【結語】機序は不明であるが、SSA-CCAVB患者では、少なくとも半数で上行大動脈のみの拡大を合併し、そのaAoDは乳児期以降も残存している。機序や予後の解明には、今後の症例の蓄積と経過観察が必要である。