The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演09(I-OR09)
川崎病・冠動脈・血管 2

Thu. Jul 5, 2018 3:00 PM - 4:00 PM 第4会場 (303)

座長:石井 正浩(北里大学医学部 小児科)
座長:鈴木 啓之(和歌山県立医科大学 小児科)

[I-OR09-03] 抗炎症薬の川崎病に対する2g/kg/dose初回免疫グロブリン療法に及ぼす陰性効果

中田 利正 (青森県立中央病院 小児科)

Keywords:Kawasaki disease, intravenous immunoglobulin, aspirin

【背景】現在の標準的川崎病急性期初回治療は、中等~高用量アスピリンを併用した2g/kg/dose免疫グロブリン療法(IVIG)であるが、アスピリンの併用に関するエビデンスは不十分であり、少量投与や初回IVIG終了後投与トライアルが行なわれている。さらに、初回IVIGにステロイドを併用し解熱した後、重症冠動脈病変(CAL)が形成されることも明らかとなってきた。【目的】初回2g/kg/dose IVIGに対する抗炎症薬の効果を検証し、初回IVIG終了後投与の有益性を明らかにすること。【方法】1999年1月~2017年10月に当科で川崎病に対する2g/kg/dose IVIGが施行された252例の臨床データを後方視的に検討した。30mg/kg/dayアスピリンまたは5~3mg/kg/dayフルルビプロフェンが、初回IVIGに併用された66例を併用群、初回IVIG終了後24時間以内に開始された186例を遅延群とした。遅延群のプロトコールは2004年以降に用いた。【結果】両群間の比較検討結果(遅延群 vs併用群)で、有意差が認められたのは、発症年度(P < 0.001)、抗炎症薬の種類(アスピリン/フルルビプロフェン:102/84 vs 17/49, P < 0.001)、30病日以内のCAL頻度(1.6% vs 12.1%, P = 0.001)の3変数であった。CAL合併を目的変数、発症年度、抗炎症薬の種類、遅延群/併用群、を従属変数とした多重ロジスティック解析で有意の従属変数は、遅延群/併用群のみであり、P = 0.002, Odds ratio = 0.119, 95% CI = 0.031-0.463,であった。遅延群vs併用群のCAL頻度は発症から30病日で0.5% vs 4.5%, P = 0.056, 60病日で0% vs 4.5%, P = 0.017,であった。【結論】アスピリンを含めた抗炎症薬は、2g/kg/dose初回IVIGのCAL抑制効果に悪影響を与えている可能性があり、初回IVIG終了後投与がCAL抑制に有益であることが示唆された。