The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演09(I-OR09)
川崎病・冠動脈・血管 2

Thu. Jul 5, 2018 3:00 PM - 4:00 PM 第4会場 (303)

座長:石井 正浩(北里大学医学部 小児科)
座長:鈴木 啓之(和歌山県立医科大学 小児科)

[I-OR09-04] IVIG不応重症川崎病症例に対するシクロスポリンA投与に関する検討

池田 和幸1, 岡本 亜希子1, 八幡 倫代1, 森下 祐馬1, 西川 幸佑1, 遠藤 康裕1, 久保 慎吾1, 河井 容子1, 奥村 謙一1, 濱岡 建城2, 細井 創1 (1.京都府立医科大学大学院医学研究科 小児科学, 2.宇治徳洲会病院 小児循環器・川崎病センター)

Keywords:IVIG不応重症川崎病, シクロスポリンA, 冠動脈予後

【背景】川崎病急性期に対する初期治療として免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)が確立されているが、IVIG不応例が10~20%の割合で存在し冠動脈病変(CAL)を高率に合併する。当院ではIVIG不応重症川崎病症例に対する3rd line治療としてシクロスポリンA(CsA)を選択しており、その治療成績について検討した。【方法】2012年11月~2017年12月に当院にて入院加療を行ったIVIG不応川崎病症例のうち、3rd line治療としてCsAを投与した10例を対象とした。原則的に3.0mg/kg/日の持続静注で開始し、CRP陰性化を確認した後に10mg/kg/日内服に変更、血中濃度は300ng/ml前後を目標とした。冠動脈径の評価はAHAガイドライン(2017年)に準拠した。【結果】対象患者の年齢は0歳7か月-4歳5か月(中央値 2歳2か月)、男女比 1.0(男5 女5)であり、初期治療開始日第3-7病日(中央値 第5病日)、CsA開始日第8-24病日(中央値 第10病日)であった。解熱時のCsA血中濃度は220-570ng/ml(中央値 379)、CsAの静注期間は3-31日(中央値 14日)、内服を合わせたCsA総投与期間は7-74日(中央値 49日)であった。CsA開始時CAL合併率は50%(巨大瘤 1, 中等瘤 3, 小瘤 1)、経過中最大径は巨大瘤 3, 中等瘤 1, 小瘤 2、後遺症残存率は30% (巨大瘤 2、小瘤1)であった。CsA開始時中等瘤症例(n=3)では、巨大瘤 1、小瘤 1、退縮 1の冠動脈転帰であった。CsA治療後に冠動脈径カテゴリーが増悪した割合は10%(1例)であった。CsA投与による有害事象は観察されなかった。【考察】CsA開始時に巨大瘤を呈した症例では冠動脈予後を改善できなかったが、CsA開始時中等瘤症例では、67%の割合で冠動脈径が改善した。CsAの持続静注による3rd line治療の報告はなく、今後の症例の蓄積により有力な新規治療法となり得ると予測される。【結語】中等瘤症例以下のIVIG不応重症川崎病に対しては、CsA投与により冠動脈予後を改善できる可能性が示唆された。