[I-OR09-05] 川崎病遠隔期冠動脈病変の修復過程にVasa Vasorumはどのような役割を果たしているか?
Keywords:川崎病, OCT, Vasa Vasorum
【背景】近年、アテローム性動脈硬化の進展に関してVasa Vasorum (VV)が重要な役割を持ち、VVの体積とプラークの体積が相関していると報告されている。一方で、川崎病(KD)冠動脈病変(CAL)の遠隔期に、VVがどのように関与しているか不明である。我々は、光干渉断層法(OCT)を用いて、VVの個数とCALの関係について検討を行い、報告したが、今回は、VVの体積との関連性について検討を行った。【対象と方法】急性期に何れかの枝にCALを合併し、フォローアップ冠動脈造影(CAG)中にOCTを施行した23症例を対象とした。急性期に冠動脈瘤を認め、その後退縮し、遠隔期にCAG上、異常所見を認めない冠動脈枝をregression群、急性期、遠隔期共にCAG上、異常所見を認めない冠動脈枝をnon CAL群とした。VVの個数、OCTで得られる各断面のVVの面積を積分することで算出される体積(Simpson法)、および冠動脈内膜厚を計測した。【結果】KD発症からOCT施行までの経過期間の中央値は14年5か月。OCTを施行し得た冠動脈53枝中、遠隔期CAGでCALを認めない枝は36枝(regression群18枝、non CAL群は18枝)。VVの個数はregression群がnon CAL群と比較して有意に多く(3.5 vs 1.8/slice, p=0.024)、内膜厚もregression群で有意に大きかった(478 vs 355 μm, p=0.006)。VVの体積は、regression群で、non CAL群と比較して有意に大きかった(0.254 vs 0.137 mm3, p=0.006)。また、regression群とnonCAL群を合わせた、平均内膜厚とVVの体積には、正の相関(R=0.36, p=0.026)を認めた。【結論】VVの個数および体積の分析から、CALの内膜肥厚や退縮に、VVの増生が関与していることが示唆された。