The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

川崎病・冠動脈・血管

一般口演09(I-OR09)
川崎病・冠動脈・血管 2

Thu. Jul 5, 2018 3:00 PM - 4:00 PM 第4会場 (303)

座長:石井 正浩(北里大学医学部 小児科)
座長:鈴木 啓之(和歌山県立医科大学 小児科)

[I-OR09-05] 川崎病遠隔期冠動脈病変の修復過程にVasa Vasorumはどのような役割を果たしているか?

垣本 信幸1, 武内 崇1, 樽谷 玲2, 猪野 靖2, 田中 篤2, 久保 隆史2, 鈴木 崇之1, 末永 智浩1, 澁田 昌一3, 赤阪 隆史2, 鈴木 啓之1 (1.和歌山県立医科大学 小児科, 2.和歌山県立医科大学 循環器内科, 3.紀南病院 小児科)

Keywords:川崎病, OCT, Vasa Vasorum

【背景】近年、アテローム性動脈硬化の進展に関してVasa Vasorum (VV)が重要な役割を持ち、VVの体積とプラークの体積が相関していると報告されている。一方で、川崎病(KD)冠動脈病変(CAL)の遠隔期に、VVがどのように関与しているか不明である。我々は、光干渉断層法(OCT)を用いて、VVの個数とCALの関係について検討を行い、報告したが、今回は、VVの体積との関連性について検討を行った。【対象と方法】急性期に何れかの枝にCALを合併し、フォローアップ冠動脈造影(CAG)中にOCTを施行した23症例を対象とした。急性期に冠動脈瘤を認め、その後退縮し、遠隔期にCAG上、異常所見を認めない冠動脈枝をregression群、急性期、遠隔期共にCAG上、異常所見を認めない冠動脈枝をnon CAL群とした。VVの個数、OCTで得られる各断面のVVの面積を積分することで算出される体積(Simpson法)、および冠動脈内膜厚を計測した。【結果】KD発症からOCT施行までの経過期間の中央値は14年5か月。OCTを施行し得た冠動脈53枝中、遠隔期CAGでCALを認めない枝は36枝(regression群18枝、non CAL群は18枝)。VVの個数はregression群がnon CAL群と比較して有意に多く(3.5 vs 1.8/slice, p=0.024)、内膜厚もregression群で有意に大きかった(478 vs 355 μm, p=0.006)。VVの体積は、regression群で、non CAL群と比較して有意に大きかった(0.254 vs 0.137 mm3, p=0.006)。また、regression群とnonCAL群を合わせた、平均内膜厚とVVの体積には、正の相関(R=0.36, p=0.026)を認めた。【結論】VVの個数および体積の分析から、CALの内膜肥厚や退縮に、VVの増生が関与していることが示唆された。