[I-OR09-06] 川崎病の小林スコアに基づく総ビリルビンの解析
Keywords:川崎病, ビリルビン, 閉塞性黄疸
【背景】川崎病のpost RAISEのサブ解析でTB≧1が不応リスクと分かり、小林スコア≧5かつTB≧1は初回からIVIG+IVMPで治療強化している。小林スコアに基づいたTB上昇の病態を調べた報告はない。【目的】川崎病罹患児では閉塞性黄疸でTBが上昇することが知られているが、治療が変わる小林スコアに基づき、ビリルビンを比較することで病態を再検討する。【方法】当院に川崎病で入院した児を小林スコア5点以上と5点未満の群で分け、それぞれのTB, DB, IBを比較した。【結果】小林スコア5点以上と5点未満で比較すると、5点以上の群で有意にTB≧1の患者が多い(p<0.01)。TB高値の患者ではAST高値、ALT高値の傾向にあり、AST高値が小林スコアに組み込まれていることを考えると、上記も説明される。小林スコア5点以上のTB≧1は全例、DB優位の閉塞性黄疸であった。小林スコア5点未満のTB≧1は少数だが、2/4がDB優位、2/4がIB優位であった。【考察】川崎病では閉塞性黄疸となりDBが上昇することは以前から知られていたが、川崎病の罹患児の一部にはIBが優位に上昇する群がおり、閉塞性黄疸とは別の病態でIBが上昇していると考えられた。有意差はないが、IBが上昇すると2MGも上昇傾向があり、IBは酸化ストレスを反映している可能性が考えられた。【結論】小林スコア≧5ではスコアの性質上、肝機能障害を合併していることも多く、この群ではTB≧1は全例、DB優位の閉塞性黄疸+酸化ストレスを反映していると考えられる。小林スコア<5ではIB優位のTB≧1も半数おり、この患者群のTB上昇の病態は酸化ストレスを反映していると考えられた。