[I-OR12-03] ファロー四徴術後の生体弁を用いた肺動脈弁置換の中長期成績
Keywords:成人先天性, 肺動脈弁置換, ファロー四徴
【背景】ファロー四徴(TF)の心内修復術(ICR)後の肺動脈弁置換(PVR)は近年増加傾向にあるが、心機能に対する影響を含めた中長期成績はいまだ明らかでない。【目的】TF ICR後PVR術の中長期成績と心機能を検討すること。【対象】当院でPVRを行ったTF患者 18例19手術(男/女=8/10)(3例は他施設でICR)を対象とした。PVRの適応は、PR:12例(有症状あるいはRVEDVI 150≧ml/m2を適応)、PS:5例、IE:2例(PVE1例)であった。PR例のPR fractionは46.6(28.7-63.9)%であった。同時手術は、TVP:7、TAP:3、MVP:3、MVR:1、Bentall:1、上行大動脈置換:1、MAZE:5、RVO ablation:2、CRT:1であった。使用弁は初期にブタ弁:3、それ以降はウシ心嚢膜弁:16でサイズは23mm:3、25mm:13、27mm:3。ICR時の年齢は平均7(1-29)歳、PVR時年齢は平均36(10-61)歳、現在術後平均観察期間は5年2ヵ月(最長10年6ヵ月)である。【結果】手術死亡はない。遠隔死亡は1例(両心機能低下RVEF47.8%、LVEF42.9%)で、PVR後3年に心不全で失った。再手術は2例。PVEによる5年後の再PVRと、小児期PVR(10歳)例で術後6年に弁の石灰化が進み一弁付きパッチによる右室流出路再建を行った。PR例のPVR前後ではRVEDVIが162.2→92.2ml/m2と有意に低下(p=0.003)、BNP:116.2→61.1pg/ml(p=0.16)、QRS幅:154→142ms(p=0.07)と改善傾向を認めた。しかし、LVEF:58.5→56.7%、RVEF:48.2→48.0%と変化を認めなかった。小児再手術例を除いて人工弁変性にともなうPS進行を認める症例はなかった。生存全例で症状の軽快かNYHAの改善を認めた。【結語】TF ICR後のPVRは右室容量負荷の軽減に寄与するが、心機能改善はいまのところ認めていない。小児では生体弁の早期劣化が認められることがあり、使用を避ける必要があるかもしれない。TF ICR後PVRの中長期成績は良好であった。