[I-OR12-05] 成人期に大動脈弓部への再介入を必要とした先天性心疾患の5例
キーワード:成人先天性心疾患, 大動脈弓部, 脳分離体外循環
【目的】成人先天性心疾患患者の増加に伴い遠隔期に追加手術が必要な症例が増加している。特に大動脈に対する手術は癒着やスペースの問題がありアプローチや補助手段に工夫を要する。今回は遠隔期に大動脈弓部への介入を必要とした5例から手術方法、人工心肺の工夫を検討した。【対象と方法】幼少期に初回手術を行い遠隔期に大動脈弓部への手術介入を必要とした5例を対象として後方視的に術式、補助手段を中心に検討を行った。【結果】症例1:Fallot四徴症に対して4歳時に心内修復術を施行したが、28歳時に大動脈弓部に50mm大の胸部大動脈瘤を認め、脳分離体外循環下に弓部大動脈人工血管置換術を行った。症例2、3、4は大動脈縮窄もしくは大動脈離断複合で、乳児期早期に大動脈形成術を施行した。その後、いずれの症例も大動脈の再狭窄に対して複数回のBalloon Angioplastyを施行したが、症例2、3は再狭窄と下行大動脈に仮性動脈瘤形成を認め15、16歳時に脳部分体外循環下に左開胸で下行大動脈置換術を施行、症例4は15歳時に体外循環下に正中切開で上行大動脈-下行大動脈バイパス術を施行した。症例5は大動脈縮窄症、僧帽弁閉鎖不全の診断で11歳時に僧帽弁閉鎖不全症に対して僧帽弁形成術を施行。47歳時に大動脈縮窄、胸部大動脈瘤に対し脳分離体外循環下にオープンステントを併用した大動脈弓部人工血管置換術を施行した。【考察】先天性心疾患術後、遠隔期に大動脈弓部への再介入が必要な症例では縦隔の高度な癒着や繰り返すBalloon angioplastyによる仮性瘤や組織の脆弱性などが問題になる。脳分離体外循環等の補助手段を工夫することでより安全で確実な手術が可能となる。オープンステント等デバイスの併用も症例によっては有用である。