第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

一般心臓病学

一般口演17(I-OR17)
一般心臓病学

2018年7月5日(木) 10:30 〜 11:20 第6会場 (411+412)

座長:麻生 健太郎(聖マリアンナ医科大学 小児科)
座長:市橋 光(自治医科大学附属さいたま医療センター 小児科)

[I-OR17-01] Additional flowがFontan循環へ与える影響

其田 健司, 浜道 裕二, 小宮 枝里子, 額賀 俊介, 小林 匠, 石井 卓, 吉敷 香菜子, 稲毛 章郎, 上田 知実, 矢崎 諭, 嘉川 忠博 (榊原記念病院 小児循環器科)

キーワード:Fontan, additional flow, 心不全

【背景と目的】Glenn血流で肺動脈は発育しないため、我々の施設ではGlenn術時にadditional flow(ADF)を残すことが多い。しかし、Fontan直前まで単心室循環へL-R shuntを付加することになり、Fontan後の心機能への影響が懸念される。Fontan前にADFが付加された例のFontan後の心機能について検討した。【方法】対象は2010年~2017年にFontan後の心臓カテーテル検査を施行した201人。Fontan前のカテ時に造影でADFを認めた130例(ADF群)と、認めなかった71人(非ADF群)に分けて、心機能、肺循環因子を比較した。【結果】ADFの内訳はRV-PA shuntが27人、BT (central) shunt44人、心室順行性59人。ADF群のほとんどの症例で、付加血流は減じて残されていた。ADF群でと非ADF群で、Glenn時年齢、Fontan時年齢、検査時年齢に有意差はなかった。両群間で、経皮的血管形成術、fenestrated Fontanの施行率に有意差はなかった。肺循環では両群間で、肺動脈 Index、中心静脈圧、肺血管抵抗、大動脈の酸素飽和度に有意差はなかった。心機能では両群間で、肺動脈楔入圧、心室の拡張末期圧、収縮末期圧は有意差がなかった。II度以上の房室弁逆流の頻度、NT-proBNP値も両群間で有意差がなかった。両群間で心室の駆出率に有意差はなかったが、ADF群の方が非ADF群に比べて、心室の拡張末期容積(65 vs. 58 ml/m2: p=0.032)、収縮末期容積(30 vs. 25 ml/m2: p=0.048)が大きかった。抗心不全療法に関しては両群間で、ACEI/ARBの使用頻度(83% vs. 85%)、enaraprilの投与量(0.20 vs. 0.20 mg/kg)、βブロッカーの使用頻度(55% vs. 49%)、carvedilolの投与量(0.36 vs. 0.42 mg/kg)に有意差はなかった。【結語】Fontan術後では肺動脈の太さは、ADF群と非ADF群で差はなかった。ADF群はFontan術後の心室が収縮期、拡張期とも大きかった。Glenn施行の際にADFを必要と判断した例では、同時に抗心不全療法を強化しても良いのではないか。