[I-OR17-03] BWG症候群(左冠動脈肺動脈起始)の臨床像と僧帽弁逆流の特徴
キーワード:BWG症候群, 冠動脈起始異常, 僧帽弁逆流
【背景】左冠動脈肺動脈起始(BWG症候群)による臨床所見は年齢・虚血の程度によって様々である。また乳頭筋機能不全による僧帽弁逆流(MR)が特徴的であり、冠動脈移植術とともに僧帽弁形成術を要することも多い。【対象・方法】当院で1988年以降に外科手術をおこなったBWG症候群19例(女13例)について、臨床所見・MRに関する経過を診療録より後方視的に検討した。【結果】診断時年齢は1ヶ月-7歳で、3ヶ月未満で診断された3例は心機能低下による心不全症状・心拡大が契機でありMRは軽度であった。乳児期以降に心雑音から診断された16例はMRが主体で心機能は保たれていたが、心雑音指摘から診断までに数年経過した症例が4例みられた。2例は他院で弁形成術を施行されたのちに診断された。心電図でのaVL誘導の異常Q波は13例でみられた。心エコーでのMRは中等度3例、高度4例で、MRの程度によらず前乳頭筋優位の輝度亢進が特徴的所見であった。冠動脈移植手術時年齢は平均3.4歳(2ヶ月-10歳)で、中等度以上のMR 7例で僧帽弁形成術を施行、1例は弁輪縫縮のみ、6例は人工腱索を用いた弁形成術を行った。術中所見では前乳頭筋優位の白色・石灰化があり、心エコーでの乳頭筋輝度亢進と一致していた。腱索断裂が2例、弁尖の逸脱は6例(A2:3例、A1+A2:1例、A1+P1:1例)、cleftが1例にみられた。後乳頭筋の白色化がみられた症例でもA3/P3の弁尖変化はきたしていなかった。最終フォロー時のMRは全例mild以下で、心機能低下例はなかった。【まとめ】BWG症候群の臨床像は多彩であるが、乳頭筋の輝度亢進は特徴的所見であり診断の一助となる。機能性MRも多いとされるが、弁尖の変化や腱索断裂を生じている場合には積極的な弁形成術が有用である。