The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

パネルディスカッション1(I-PD01)
より良いフォンタンの生涯に向けて

Thu. Jul 5, 2018 10:20 AM - 11:50 AM 第1会場 (メインホール)

座長:大内 秀雄(国立循環器病研究センター 小児循環器科)
座長:中野 俊秀(福岡市立こども病院 心臓血管外科)

[I-PD01-02] フォンタン循環の確立:心肺を整える ―外科の立場から―

中野 俊秀 (福岡市立こども病院心臓血管外科)

Keywords:フォンタン, 外科手術, 危険因子

機能的単心室症の外科治療における最終目標であるフォンタン手術はその特異的な循環動態から術後遠隔期においても様々な合併症の発生リスクや循環破綻のリスクを有する。よりよいフォンタン循環を確立するためには、新生児または乳児期早期から始まる段階的外科治療戦略の中でいかに効果的かつ有効に危険因子を除外し、いかに良好な心機能と肺血管床を維持した上でフォンタン手術を完成させるかが外科医に課せられた役割である。外科の立場から良好なフォンタン循環の確立に必要な以下の手技に焦点をあてる。1. 大動脈閉塞性病変の解除:大動脈縮窄や大動脈弓離断症の合併症例や左心低形成症候群における残存狭窄のない大動脈弓形成術。2. 総肺静脈還流異常症の修復:術後肺静脈再狭窄を来さない術式の工夫。 3. 肺動脈狭窄病変の解除:広い肺血管床と低い肺血管抵抗を得るための積極的な狭窄病変の解除。4. 房室弁逆流に対する修復術:形態に応じた有効な形成術式の選択。逆流病変に対する段階的治療概念の導入。5. 体心室流出路狭窄に対する対策:体心室圧負荷を減ずるための積極的なDamus-Kaye-Stanselの併用。段階的外科治療のタイミング:低酸素血症の期間が遷延することによる体肺側副血行路の発達はグレン、フォンタンの肺循環の妨げになり、また心室容量負荷の増大をもたらす。また順行性肺血流のないグレン循環が遷延すると肺動静脈瘻の発生のリスクが増加する。そのため、心室と肺血管床の条件が揃い次第、段階的治療を進めていく必要がある。特に内臓錯位症候群の機能的単心室患者は複数の危険因子を有するため、より慎重でかつ積極的な外科治療介入が求められる。フォンタン手術前までにこれらの危険因子を的確に減らし、よりよい心室機能と肺血管床の条件を整えパーフェクトフォンタンを完成させることが外科医の使命である。