第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム2(I-S02)
肺実質障害を伴った心疾患の呼吸循環管理

2018年7月5日(木) 14:50 〜 16:20 第2会場 (301)

座長:大崎 真樹(静岡県立こども病院 循環器集中治療科)
座長:竹内 宗之(大阪母子医療センター 集中治療科)

[I-S02-02] HLHS/rFOやPVO解除後の呼吸循環管理

金澤 伴幸, 岩崎 達雄 (岡山大学病院)

キーワード:肺静脈還流, 肺障害, 人工呼吸

(はじめに)
先天性心疾患患児では呼吸と循環が、密接に関連しており、肺障害を合併すると容易に循環への影響し、循環のバランスをとるのに難渋することがある。その治療法の一環である人工呼吸も陽圧による肺障害を惹起したり、循環に影響を及ぼすため病態に応じた管理を行う必要が有る。

(呼吸管理)
HLHS/rPFOやPVOを合併した状態では、直列循環あるいは並列循環により循環に及ぼす影響に相違はあるが肺静脈のドレナージが悪いことが問題となる。病態は肺鬱血の程度と原疾患の状態によるが、どの疾患であれ肺血流を増加させる呼吸管理(高濃度酸素、過換気など)は鬱血を助長するため要注意または禁忌となる。ただし肺障害などを合併し極端な低酸素が存在する場合、許容できる最低限のSaO2を設定し、その値を少なくとも維持できるような酸素濃度を保つ。
術後の病態は原疾患の状態と肺静脈還流障害がどの程度解除されているかによる。術後は人工心肺や手術の直接的な侵襲により肺血管抵抗が高くなっているため、肺血管抵抗をさげる治療が一般的である。極力低気道内圧を維持し二次的な肺障害を防ぐことは大前提であるが、肺血管抵抗のコントロールができなければ循環障害の原因となるため循環維持のための呼吸管理を優先する。また肺血流増加型の疾患の中には術後に肺血管抵抗をある程度高く維持する必要がある場合がある。術直後には低酸素や肺高血圧で難渋することが多く、術後早期にはできるだけ肺障害を起こさないように低い設定で高二酸化炭素は循環が許す限り許容し酸素化を維持する。その後は肺の改善に遅れず酸素使用を制限し、過換気を避けて肺血管抵抗を下げすぎない治療へとシフトする。
 本講演では、肺静脈の還流が阻害され肺障害を伴う疾患の呼吸・循環管理を正常肺における小児の人工呼吸管理をふまえて呼吸管理を中心に紹介する。