[I-S02-03] 小児先天性心疾患術後開胸状態での腹臥位管理
Keywords:腹臥位, 開胸, PICU
【はじめに】1974年に仰臥位では陽圧呼吸管理中に背側の横隔膜が頭側に移動し、肺容量が減少する事が示され、腹臥位管理が提唱されたのが腹臥位管理の始まりである。その後、ARDS患者の仰臥位にて、下側になる肺区域の血液灌流の増加が示唆され、腹臥位にすることで酸素化が改善する事が示された。酸素化改善の機序としては、換気血流不均衡の改善、機能的残気量の増加、局所の横隔膜運動の変化、分泌物クリアランスの改善などがある。2013年には、成人重症ARDS患者を対象としたRCTにおいて、腹臥位で生存率が改善することも示された。当院PICUでは以上の効果を考慮して肺機能が低下している事が予想される先天性心疾患術後症例では、開胸状態であっても、早期から積極的に腹臥位を施行している。今回、それらが安全に施行できていたか調査したので、報告する。【対象と方法】当院PICUにて2014年1月1日から2017年12月31日までの4年間、先天性心疾患心臓血管外科術後管理中に、開胸管理を施行した症例を対象とし、腹臥位による合併症や呼吸パラメータの変化に関して後方視的に検討した。【結果】調査期間中、開胸管理は45例であった。開胸状態で腹臥位療法を行っていたものは12例(ECMO併用1例)であった。腹臥位療法中の合併症としては、皮下出血の増悪が1例、1か月以内の縦隔炎が1例、10mmHg以上の血圧の低下が2例(1例は自然回復、1例は塩化カルシウム投与で回復)、創部からの出血の増加を認めた症例は無かった。1回換気量の上昇は12例中8例、酸素化の改善も12例中8例に認めた。腹臥位開始時期は、術後2日目~19日目(中央値5日目)、施行時間は、10時間~37日間(中央値24時間)であった。【結語】開胸中であっても腹臥位管理は安全に施行できる。今後は、症例を積み重ね有効性に関しても検討していきたい。