[I-S04-05] 山梨県における児童生徒の心臓性突然死ゼロに向けての活動-親子で学ぶ心肺蘇生講座について-
キーワード:心肺蘇生, AED, 突然死
【背景】近年、児童生徒を対象とした心肺蘇生教育は学校教育課程で広がりつつある。しかし、児童生徒へ心肺蘇生法を広く普及させ、獲得した技術を維持するためには、日常生活の場においても心肺蘇生に対する意識を高めることが重要である。このことから、私たちは「山梨県における児童生徒突然死ゼロ」を目指し、親子を対象とした心肺蘇生に関する市民講座を開催してきたので、その意義について報告する。【方法】心肺蘇生に関心を持つ児童生徒とその家族を一般公募した。講義は30分で心肺蘇生手順を解説したアニメーション動画とCPRトレーニングボックスを使用した。実技は90分で、1チーム親子2-3組とし、CPRマネキン・AEDトレーナーを使用して「胸骨圧迫方法」「AED使用法」「親子で共同して行う2人法心肺蘇生」について練習した。【結果】2015年10月から2017年12月までに計5回市民講座を4市町で開催し、家族106組306名(児童生徒177名)が参加した。本講座は、県内の大学・医療機関・地域消防署・医師会・心肺蘇生指導協会と連携し18施設の医師・看護師・教員・救急救命士計58名がスタッフとして参加した。AHA公認BLSインストラクター有資格者が講義・実技指導を行った所、心肺蘇生は小学校高学年で確実に行えることが明らかとなった。参加者へのアンケートでは、親子で蘇生講習を受講できたこと、AEDを使用できたことが印象に残っていると回答した。【まとめ】親子で心肺蘇生講習を受講する意義は、保護者が心肺蘇生技術を獲得していく子供の姿を認識できること、家族内で心肺蘇生に対する意識を日々高める機会となることがあげられる。本講座が継続できている要因として、指導スタッフが本講座開催毎に有用性について検討していること、運営を多施設と連携できていることがあげられる。【結語】児童生徒に対する心肺蘇生指導は、教育現場だけでなく地域社会でも普及させることが有意義であると考える。