[I-YB01-02] 房室中隔欠損症3疾患群間における術後左側房室弁coaptation geometryの比較
キーワード:房室中隔欠損症, 心エコー, 左側房室弁逆流
[背景・目的]我々は以前心エコーでの完全房室中隔欠損症(CAVSD)左側房室弁評価のために設定したgeometric parameterは有意に正常対照群と違った値を示し,AVSDの接合様式や機能といった特徴の定量化を報告した。今回、房室中隔欠損症のspectrumを3群に振り分け各群間での左側房室弁接合様式を比較・検討した。[対象・方法]対象は根治術を行ったAVSDの内当院外来フォロー中で計測可能なデータがある患者とした。Complete(C) 19例, Intermediate(M) 6例,Incomplete(I) 3例の3群間で比較を行い心エコー時の患者背景に有意差はなかった。左側房室弁接合形態に関するgeometric parameterを上記3群間で比較、検討を行った。また各群に置いてパラメーターと左側房室弁逆流(Vena Contracta, MR/LA %)と対比検討した。 前尖/後尖接合角(Ac angle, Pc angle), 前尖/後尖接合角(Ao angle, Po angle), Index tenting height(I-TH), Index coaptation length(I-CL),前尖後尖長比(a/p), 心尖部四腔像における左側房室弁中隔側付着部の偏位度(ΔD)[結果・考察]接合様式:(C vs M vs I) Ac: 24±6°vs 23±9°vs 23±13° (NS), Pc:27±8°vs 22±10°vs 26±3°(NS),I-TH:6.2±2.9 vs 6.0±4.8 vs 7.5±5.2 (NS), I-CL:4.8±2.3, 6.6±2.9, 2.5±1.1(p=0.06),a/p: 1.20 vs 0.94 vs 0.95 と以前報告した正常群と異なるcoaptation様式を有し、またその特徴は3群間の比較で有意差なく似たものであった。このことから左側房室弁接合様式において、Iで若干coaptation lengthが短い傾向が見られたものの、これら3疾患群は同じspectrumの疾患としての特徴を有することが定量化された。 ΔDでも10.1±6.4 vs 11.2±8.0 vs12.3±4.8とAVSD3群で共に左側房室弁中隔側付着部の下方偏位を呈した。また前回の研究同様ΔDは左側弁逆流に強い正の相関を示し(C:r=0.60,p=0.02 M:r=0.89, p=0.02)逆流機構解明のためさらなる検討が必要と思われた。