[I-YB02-03] 日本、台湾、中国との胎児心エコー遠隔カンファランスの報告
キーワード:遠隔カンファランス, 心疾患, 胎児診断
背景:重症心疾患の胎児スクリーニングはアジア各国でも普及しつつある。しかしながら、アジアには胎児精査を行なえる施設が少ない現状がある。また、日本国内では各施設当たりの分娩数は少ないため、重症心疾患の胎児診断の症例数の蓄積が十分ではない問題がある。目的:3年前から実施している台湾、中国の5施設との胎児心エコーの遠隔カンファランスの経験を報告し、成果と問題点を検討した。遠隔カンファランスの概要:2014年9月から2017年12月までの約3年間に、計50回の遠隔カンファランスを行った。参加施設は日本からは東北大、台湾台北、中國廣東廣州、中國湖北武漢、中國遼寧大連の5つの周産期施設である。通常のインターネット回線で接続し、H.323、Vidyo, Zoomなどのシステムを使って双方向接続で参加した。ほぼ月1-2回の頻度で開催し、胎児心エコー診断に関する講義を18回、症例検討を18回、のべ57症例について検討した。検査技師、産科医、小児科医、心臓外科医など毎回40-50人が参加した。英語を共通語として使用した。各遠隔会場ではITエンジニアのサポートをえて実施した。結果:開始当初、音声や動画の不鮮明、フレームレート低下などの問題点があったが、経験を重ねるごとに品質が向上した。教育および経験の共有する場として十分役立っているとの海外からの参加者の感想が寄せられている。英語が必ずしも得意でない地域間での英語による議論では時にコミュニケーションがとりにくい場面もあった。今後の課題:さらに品質の向上を図り、近い将来に遠隔診断を実施したいと考えている。また、年1回、台湾および日本で参加者が一堂に会する定期的なカンファランスを実施する予定である。結語:台湾、中国との間で3年間45回にわたって実施した胎児心エコー遠隔カンファランスについて報告した。この試みは有意義な国際協力の一環であると同時に、我々自身の経験値を高めるうえで有意義と得られる