[II-JCCJS-04] 成人と小児のカテーテル治療最前線
Keywords:ハートチーム, 弁膜症, 低侵襲治療
2002年に初めて経カテーテル大動脈弁置換術が行われて以来、成人における経カテーテル弁膜症治療は近年目覚ましい発展を遂げている。経カテーテル大動脈弁置換術は開胸歴や併存症、フレイルといったリスクを持った外科手術が困難な患者に対する治療として始まったが、新しいテクノロジーとともに中等度リスク患者においても外科手術にとって代わり、大動脈弁治療の主軸となった。さらに欧米では経カテーテルValve-in-Valve術が外科的生体弁劣化による狭窄、逆流症に対して有効な治療であることが証明され、大動脈弁位のみならず、僧帽弁位、三尖弁位においても行われるようになった。小児領域も含めて本邦への導入が期待される。次に僧帽弁位については本年よりMitraClipによる経カテーテル僧帽弁形成術が本邦に導入された。手術が困難な僧帽弁閉鎖不全患者に対する医療ニーズは高く、低侵襲治療としての役割が期待されている。このMitraClipも一部の小児領域の患者に有用であると考えられる。また現在欧米で臨床試験が行われている経カテーテル三尖弁輪形成術は、僧帽弁デバイス以上に小児領域には需要があると考えられるが、本邦への導入は未定である。最後に肺動脈弁位においては主にファロー四徴症術後の患者に対してHarmony弁による経カテーテル肺動脈弁形成術が今後本邦に導入される。また米国では肺動脈弁位へのSAPIEN XT/3弁の留置が可能であり、解剖学的に多様性のある右室流出路への経カテーテル治療の選択肢は今後増えてくるであろう。現在、成人循環器領域全体に大きな変化をもたらしている低侵襲カテーテル治療は、テクノロジーの進歩と共に小児循環器領域でも患者の生涯の治療戦略を根底から変える可能性を秘めている。それには小児循環器科、小児心臓外科、循環器科、心臓外科を中心としたハートチームによる包括的な医療が必須であり、患者の成長と共にシームレスな医療を提供できることが期待される。