[II-JCCJS-03] 大血管及び末梢血管に対する血管内治療の現状
Keywords:Endovascular therapy, Peripheral artery disease, Thoratic and abdominal anerysum
近年、胸部及び腹部大動脈領域において、低侵襲であるステントグラフト治療が中心的な役割を担っている。胸部大動脈瘤に対しては、弓部もしく上行大動脈付近まで瘤の変化を併発する場合、ステントグラフト治療は非常にchallengingとなるが、このような場合に当院では、2本の人工血管バイパスを併用するチムニー法を用いた非開胸下でのステントグラフト治療を施行している。また、慢性解離性大動脈瘤に対しては、ステントグラフト、コイル、血管用プラグを併用して、エントリー及びリエントリー閉鎖を試みている。一方、腹部大動脈瘤に対しては、術後のエンドリークによる瘤拡大が臨床現場での問題であり、2-3mm以上の下腸間膜動脈や腰動脈には、事前にコイル塞栓を施行して術後のエンドリークからの拡大を防止している。末梢動脈疾患においては、新しいデバイス様々導入されている。腸骨動脈領域では、新しいカバードステントが良好な遠隔期成績が報告されている。一方、下腿動脈領域は、血管内治療適応は、潰瘍壊疽を合併する重症下肢虚血のみに限定される。一般的に、糖尿病と慢性維持透析を基礎疾患にもつ症例が多く、血管の石灰化変化を合併する。血管閉塞を再疎通させるためには、非常に困難を極めることも多く、時に足関節以下の血管を穿刺し、逆行性にワイヤークロスを試みることもある。ワイヤー通過後にはバルーンのみで治療を行う。大腿膝窩動脈領域においては、現在パクリタキセル溶出性の薬物溶出性バルーン(DCB: drug-coated balloon)治療が中心的役割を担う。通常バルーンで再狭窄率が約50%であったものに対して、10%まで低下させることに成功している。今後は、アテレクトミーデバイス等と併用して更なる治療成績の改善が期待される。今回、各血管に対する治療方法および成績をまとめた。本セッションでは、実臨床での症例を通じて大血管及び末梢血管に対する血管内治療の現状を報告したい。