[II-MOR07-01] 再生型組織修復材バイオシートの小児外科への応用をめざして:異種バイオシートの肺動脈パッチ移植実験
Keywords:再生医療, 異種移植, 肺動脈修復材
【目的】我々が提唱する新組織工学技術である生体内組織形成術(IBTA)を用いると、鋳型を皮下に埋込むだけで、自己結合組織からなる自家移植用組織膜(バイオシート)を作製することができる。ウシやブタの心膜は使いやすく有用であるが、グルタールアルデヒド(GA)処理してあるため抵抗力が無く感染に弱く、当然ながら成長性は望めない。また、心血管の修復材として多用されている自己心膜は量に限りがある。本研究では、異種牛バイオシートをGA処理や脱細胞処理せずに犬の肺動脈にパッチ移植し、修復材としての生体内機能評価ならびに組織評価を行った。
【方法と結果】シリコーン製心棒(外径18mm)をスリット孔付のステンレス綱製パイプ(内径20mm)で覆って鋳型を組み立てた。これを乳用牛の皮下に局所麻酔で埋込み、2ヶ月後に摘出した。鋳型の部材を全て取り外して結合組織管を得た。これを切り開くことで、厚さ約0.5mm、大きさ7cm x 5cmのバイオシートを得た。ビーグル犬を左開胸し、主肺動脈を露出させ、パーシャルクランプ下で楕円形の欠損口(最大25mm x 13mm)を作製し、同形状に切り出したバイオシートを6-0 ナイロン糸を用いて連続縫合によってパッチ移植した。術後抗血小板薬を1ヶ月投与した。エコー検査において、血栓形成を認めず、最大半年の観察期間中膨化や狭窄無く、スムーズな血流を維持した。移植3ヶ月後の組織観察において、αSMA+細胞を含む膠原線維層の内腔面を弾性線維層が覆う薄膜構造の形成を認めた。膠原線維層周辺にはCD204+マクロファージ、CD3+T細胞やCD79α+B細胞が散在し、バイオシートの分解に起因する炎症が示唆された。
【結語】異種の牛バイオシートの分解と新生肺動脈壁構築がバランスを保って置き換わりつつあった。牛バイオシートは再生型の肺動脈用のshelf ready修復材として応用可能と考える。自己組織に置き換われば、抗感染性、成長性、高耐久性が期待される。
【方法と結果】シリコーン製心棒(外径18mm)をスリット孔付のステンレス綱製パイプ(内径20mm)で覆って鋳型を組み立てた。これを乳用牛の皮下に局所麻酔で埋込み、2ヶ月後に摘出した。鋳型の部材を全て取り外して結合組織管を得た。これを切り開くことで、厚さ約0.5mm、大きさ7cm x 5cmのバイオシートを得た。ビーグル犬を左開胸し、主肺動脈を露出させ、パーシャルクランプ下で楕円形の欠損口(最大25mm x 13mm)を作製し、同形状に切り出したバイオシートを6-0 ナイロン糸を用いて連続縫合によってパッチ移植した。術後抗血小板薬を1ヶ月投与した。エコー検査において、血栓形成を認めず、最大半年の観察期間中膨化や狭窄無く、スムーズな血流を維持した。移植3ヶ月後の組織観察において、αSMA+細胞を含む膠原線維層の内腔面を弾性線維層が覆う薄膜構造の形成を認めた。膠原線維層周辺にはCD204+マクロファージ、CD3+T細胞やCD79α+B細胞が散在し、バイオシートの分解に起因する炎症が示唆された。
【結語】異種の牛バイオシートの分解と新生肺動脈壁構築がバランスを保って置き換わりつつあった。牛バイオシートは再生型の肺動脈用のshelf ready修復材として応用可能と考える。自己組織に置き換われば、抗感染性、成長性、高耐久性が期待される。