[II-MOR07-04] Fallot四徴症術後、肺動脈弁閉鎖不全に対する肺動脈弁挿入術後に右室拡大が進行した症例の検討
Keywords:肺動脈弁閉鎖不全, 肺動脈弁置換術, ファロー四徴症術後
【背景】Fallot四徴症(TOF)心内修復術(ICR)後の肺動脈弁閉鎖不全(PR)に対して、肺動脈弁置換術(PVR)後にPR、右室拡大(RVE)が持続した症例の検討は少ない。【目的】TOF ICR後PVR後にRVEが持続した症例の臨床経過および右室機能の特徴を明らかにする。【対象と方法】当院で、TOF ICR後にPRによるRVEに対してPVRを行った症例のうち、術後にPRが持続し、CMR上RVEが進行した6例(R群:男3例、女3例)と、PVR後RVEが改善した19例(N群:男12例、女7例)の2群間で、PVR前後の症状、心胸郭比(CTR)、血漿BNP値、CMRによる右室拡張末期容積(RVEDV)、収縮末期容積(RVESV)、肺動脈弁逆流率(PRF)、右室駆出率(RVEF)について後方視的に比較検討した。各検査は、PVR前と6~18か月後で行った。【結果】PVR時年齢(40±5歳 vs 27±12歳、p=0.01)、ICRからPVRまでの年数(37±5年 vs 23±3年、p<0.01)はR群でN群より有意に大きかった。PVR後R群でのみ不整脈3例、右心不全2例、肺動脈弁狭窄2例が出現した。PVR前のCTR、BNP、CMR所見は両群で差を認めなかった。PVR後、R群はN群に比し、RVEDV(232.5±37.3ml/m 2 vs 136.7±23.3ml/m 2、p<0.01)、RVESV(153.5±34.3ml/m 2 vs 81.6±19.6ml/m 2、p<0.01)、PRF(53.1±19.5% vs 12.1±14.9%、p<0.01)が有意に高値であった。PVR時、R群全例でpolytetrafluoroethylene二尖(PTFE)弁が、N群で12例(63%)にPTFE弁、7例(37%)に生体弁が用いられ、RVE進行例にPTFE弁が多い傾向にあった(p=0.1)。 R群2例で、各々PVR後1年、4年で生体弁を用いた再PVRが行われ、症状、BNP、CMR所見は改善した。残り4例の内訳は、再PVRを待機中2例、検討中1例、希望なし1例。【結論】PVR後のPR再増悪は、PRによる右室容量負荷の持続期間と関連する可能性が示唆された。TOF ICR後のPVRの至適時期について、ICR後の期間を考慮する必要がある。