[II-MOR08-01] 複数かつ特殊形態のASD(II)を如何に安全かつ有効に閉鎖するか
キーワード:ASD, 複数欠損, Figulla Flex II
【はじめに】心房中隔欠損(ASD)では心房中隔の性状によりバルーンサイジング(BS)で形態が大きく変化することがある.複数欠損でこの現象が見られた場合,いずれの欠損をどのように閉鎖するべきか,予想と異なる形態を示した特殊な欠損孔の経験を通し,閉鎖に至るまでの経過を報告する.【症例】74歳女性.20歳時にASDと診断.1年前から動悸,息切れが増強したため閉鎖目的で当院紹介.【閉鎖術1】Qp/Qs=3.0,mPAP=21mmHg,Rp=2.76,後下方に主欠損A:φ13.7x12.2mm,Rim:IVC=0-6.4mm,post=6.3mm,CS=0-7.7mm,前上方に副欠損B:φ5.6x12.1mm,Rim:Ao=0,Antsp=13mm,欠損孔間12.5.mm.心房中隔は孔A側が翻っていたが孔AはBSでほとんど拡大せずφ16.3mm,孔Bは変形せず.FFII19.5を留置.detach前Qp/Qs=1.85であり孔Bにguidewire通過を試みるも,閉鎖栓が経路を障害し通過不能.閉鎖栓を一旦収納回収し孔BにBSを施行.孔Bは大きく拡がり孔Aが縮小.孔Bはundersizeで脱落,erosion両方のリスクが上昇すると考えウエストができるまで拡張し16.6mm→FFII19.5を留置.Qp/Qs=1.6.孔AはBSで8.2mm.同時留置では閉鎖栓同士の作る角度が大きくなり,重なりが外れて脱落する恐れありと判断し1個留置で終了.【閉鎖術2】10か月後. Qp/Qs=1.9, mPAP=22mmHg, Rp=3.7,残存欠損孔φ7.9mm,Rim:IVC=0-4.4mm,post=4.9mm,CS=0-3.8mm.guidewireは容易に残存孔を通過.BS10.4mm→FFII13.5を留置.遺残短絡はほぼ消失.【考察】複数欠損のASDでは,欠損孔間距離≧7mmで複数の閉鎖栓を留置する方法が有効と報告されている。しかしながら同時複数留置では心の動きにより閉鎖栓の重なりが外れ,脱落するアクシデントも見られる.本症例では孔Aは下方rimがpoor,かつ孔BはPFO様に大きく拡がり,過小閉鎖栓が脱落しやすい形態と考えたことから,敢えて同時留置を避けた.1つ目が内皮で覆われ脱落リスクが低減した後に追加留置する方法が安全かつ有効であったと考えられる.