[II-MOR08-02] PAIVSおよびSevere ASに対する段階的インターベンション~その冠動脈本当に右室依存性ですか?~
Keywords:PAIVS, 経皮的肺動脈弁形成術, 右室依存性冠循環
【緒言】純型肺動脈閉鎖症(PA.IVS)の治療決定において、右室依存性冠循環(RVDCC)の有無は最終形態を二室とするか単心室を目指すかの大きな要因となりうる。重症大動脈弁狭窄(Severe AS)を合併する症例では、順行性冠血流低環流のため冠動脈評価に難渋する。【症例】日齢21、PA.IVS、Severe ASの女児。PDAによる高肺血流から心不全増悪し、治療目的に転院した。推定右室容量は60%Nで、RVDCCがなければ経皮的肺動脈弁形成術(BVP)を行い二室修復を目指す方針とした。AS peak PG54mmHgとASも重度であったが、心不全はPDAの関与が大きいと判断、AS治療は評価の上で考慮することとした。日齢24、心カテを施行。RVG及び選択的LCAGでLADと交通する右室冠動脈瘻(RVCAF)を認めたが、RVDCCの評価は困難だった。Severe ASのために順行性冠循環が低環流となっている可能性を考慮し、ASに対する経皮的大動脈弁形成術(BAV)を先行する方針とした。BAV後、ASPG58→34mmHgと改善を得た。日齢26に再度心カテを施行。RVGで、RVCAFはLAD順行性血流によってwash outされることを確認し、RVDCCを否定。BVP及び追加BAVを行う方針としたが、急激なRV・LV圧低下は循環動態の破綻を来しかねないと考え、RV圧、PA圧、LV圧をそれぞれ同程度とすることを目標とした。BVPを行い順行性肺血流を確保、BVP後RV圧111/21→72/9と改善した。次にAOVに対して追加BAVを施行しLV圧97/6→74/8mmHgと改善した。2回の心カテ後、PDAは自然退縮し心不全は軽快した。その後、残存PSとRVOTSの進行からRV圧が再上昇したため、生後1か月半で再度心カテ(BVP)を行い、RV圧47/10、MPA圧20/11、AO圧76/27と血行動態安定した。【考察】PA.IVS+AS合併新生児例に対して段階的に治療を行うことで、冠動脈評価をより詳細に正確に行うことができた。適切な評価で二室修復術の適応症例を拡大できる可能性がある。