The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ミニオーラルセッション

電気生理学・不整脈

ミニオーラルセッション10(II-MOR10)
電気生理学・不整脈 1

Fri. Jul 6, 2018 3:00 PM - 3:42 PM ミニオーラル 第2会場 (312)

座長:芳本 潤(静岡県立こども病院 循環器科)

[II-MOR10-04] 乳児期に発症したshort-coupled variant of torsade de pointes(ScTdP)の一例

須長 祐人1, 喜瀬 広亮1, 吉沢 雅史1, 河野 洋介1, 戸田 孝子1, 小泉 敬一1, 杉田 完爾1, 大野 聖子2, 堀江 稔2 (1.山梨大学医学部小児科, 2.滋賀医科大学呼吸循環器内科)

Keywords:torsade de pointes, ICD, 致死性不整脈

【背景】Short-coupled variant of torsade de pointes(ScTdP)は、連結期の短い心室性期外収縮(PVC)をトリガーとしtorsade de pointes(TdP)が誘発される稀な疾患である。心臓突然死の原因として、成人での報告は散見されるが、小児での報告は稀である。今回、Electrical stormから心停止に陥り、救命後にScTdPと診断した乳児例を経験した。
【症例】10か月男児。安静時に顔色不良、意識消失し救急要請された。救急隊到着時のモニター心電図でVFを認め、AEDでの除細動とCPRを施行され当院へ搬送された。当院到着時、TdPで脈拍触知不能であったため電気的除細動を行ったが、洞調律維持が困難であり、アミオダロン(AMD)を投与され洞調律に復帰した。突然死・不整脈の家族歴はなし。心エコーでは心内奇形がなく心収縮は良好であった。12誘導心電図ではQT間隔の異常やJ波を認めなかった。ICD植え込み術後、AMD内服下で心室頻拍(VT)・VFの出現がないことを確認し退院した。退院後、VTに対しICDが作動し、ホルター心電図で連結期の短いPVCとこれをトリガーとする非持続性心室頻拍が確認され、これまでのAEDとICD記録でも同様の所見を認めたことからScTdPと診断した。ベラパミルの内服を開始し、その後ICDの作動を要するVTおよびVFは消失した。遺伝子解析では致死性不整脈の原因となる遺伝子変異は検出されなかった。
【考察】これまで乳児期発症のScTdPの報告はない。本症例は、基礎疾患がなく、他の致死性不整脈が否定的であり、安静時の連結期が短い(<300ms)PVCをトリガーとしてVTを認めたことからScTdPと診断した。過去の報告例と同様にベラパミルが有効であった。またトリガーとなるPVCは単形性で、将来的にアブレーションは治療の選択肢となりうる。
【結語】ScTdPは、頻度が稀な疾患であるが、乳児期においても発症する可能性があり、乳児期の致死性不整脈の鑑別の一つとして念頭におく必要がある。