[II-OR23-01] Direct Fontanの遠隔成績 -自己組織による成長はなされているのか
キーワード:direct Fontan, 自己組織, 遠隔成績
【背景】フォンタン手術はextracardiac conduit(EC)を用いたTCPCが一般的で良好な成績が報告されているが、conduitに成長の可能性はなく血栓関連合併症も起こりうる。当院でも現在はECによるTCPCが基本であるが、過去IVCの後壁をPAに直接に縫合するDirectフォンタンを行った。【目的】Directフォンタンの中期-遠隔成績、特にIVC-PA通路の大きさについて検討した。【対象・方法】対象は術後10年以上経過した18例。主診断はTGA5(cTGA3), SV4, TA3, DORV(T-B)2, PAIVS2,ほか。先行手術はPAB7,BT4,Glenn2,ほか。手術時年齢は平均21.1か月(6-74か月)、平均体重は8.94kg。Direct フォンタンはIVC後壁をPAに直接縫合し、必要に応じて前面にパッチ補填を行った(なし3、自己心膜2、ePTFE13)。術後の造影検査よりIVC-PA通路の大きさ(長径・短径)などを測定した。【結果】手術死亡なし。遠隔死亡は1、術後8カ月、突然の嘔吐からショック・多臓器不全。平均術後経過観察期間は15.1年。再手術としてTCPC conversionを2例(術後2.9、3.1年)、RVOTR、AVR+MVRなどを行った。TCPC conversion2例の理由は1.通路拡大によるPVO 2.左右肺血流バランス悪化。血栓関連合併症はなし。最終受診でのNYHAは全例ほぼI、BNPは13.3pg/dl、最終カテでのCVPは9.5mmHg。不整脈は接合部調律2。カテーテル正面画像からのIVC-PA通路長径は平均1.17±0.90cm/年(中央値0.88cm/年)、横径は平均0.42±0.42cm/年(中央値0.23cm/年)拡大を認めた。補填物による有意差はなし。最終造影CTによる通路の断面長径は21.46±2.53mm(ただし術後平均8.1年後、n=6)。【結語】Directフォンタンの中期・遠隔成績を検討。再建通路の拡張過多と関連するPVOを呈した症例は存在するが、多くは血栓など合併症も少なくIVC-PA通路の適正成長も得られていた。これから長期予後データ解析が進むEC群との比較検討に対象となる群になると考えられた。