[II-OR26-01] 術後反回神経麻痺の診断における声帯エコーの有用性
Keywords:声帯エコー, 術後反回神経麻痺, 先天性心疾患
【背景・目的】 反回神経麻痺は先天性心疾患手術におけるnon-cardiac complicationの一つであるが、嗄声や嚥下機能障害を引き起こし,誤嚥や経口摂取困難など児の術後回復に影響を与え得る。診断に際しては、これまで喉頭ファイバーで行われてきたが、侵襲的な検査で耳鼻科コンサルトが必要なことから、確定診断や治療介入が遅れる傾向にあった。近年、非侵襲的な声帯エコーによる反回神経麻痺評価の報告が散見されている。今回、先天性心疾患手術の術後反回神経麻痺の診断にあたり、声帯エコーの有用性を調査する。【方法】2017年10月から12月までの2ヵ月間に、当院CICUに入室した先天性心疾患手術後の患者のうち、術式や症状から反回神経麻痺のリスクがあると考えられた症例9例を対象とした。年齢中央値3か月(1-5か月)、性別男 6例女3例。声帯エコーはLOGIQ e Premium Ultrasound System (GE Healthcare)を使用してベッドサイドで施行した。後日、耳鼻科医による喉頭ファイバーで声帯エコー診断の正誤を確認した。【結果】疾患は、大動脈縮窄複合4例、心室中隔欠損2例(うち1例は鎖骨下動脈起始異常)、完全型房室中隔欠損1例、Ebstein奇形1例、先天性気管狭窄/肺動脈スリング1例。症状は、嗄声8例、吸気性喘鳴 2例であった(重複あり)。抜管からエコー施行までは中央値2日(0-4日)であった。所見は、左声帯固定 7例、両側声帯固定 1例、正常 1例であった。このうち、左声帯固定と診断した1例のみ喉頭ファイバーで正常であったが、それ以外は喉頭ファイバー所見と一致した。【結論】声帯エコーは、非侵襲的かつ簡便にベッドサイドで行うことができ、喉頭ファイバーとほぼ同等に反回神経麻痺を診断することができた。先天性心疾患手術の術後反回神経麻痺の評価に声帯エコーは有用であると考えられる。