[II-PD04-02] 冠動脈起始異常を合併した総動脈管症類縁疾患に対する外科治療の一例
Keywords:総動脈幹症, 冠動脈起始異常, 喉頭形成異常
【症例】在胎35週に胎児心エコーで総動脈管症類縁疾患を疑われる。41週3日、経腟分娩で出生。出生体重2534g、Apgar 7/8。出生後まもなく呼吸不全から気管内挿管。挿管には5時間を要し後に先天性声帯欠損を主とする喉頭形成異常と診断、7ヵ月時に気管切開。[S,D,N]で両房室弁は正常、両心室のサイズと機能は正常、大きな膜様部心室中隔欠損を有し、一つの半月弁がこれにまたがってやや右室寄りから起始し総動脈幹症様であるがこの弁と僧帽弁の繊維性連続は認めず。総動脈幹から右冠動脈と、左右肺動脈が独立に起始(Collet-Edwards II型)。左大動脈弓。大動脈頸部分枝は下行大動脈から起始、左冠動脈は食道背側を走行する腕頭動脈から垂直に下行し心表面を走行。明らかな染色体異常は特定出来ずも頭蓋底形成不全、口蓋裂など多発心外奇形を合併しており生命予後は不明、家族は当初外科治療を躊躇。窒素を用いた低酸素療法を継続、最終的に当院での外科治療を希望されたため4ヵ月、2.5kgで姑息的根治術の目的で手術施行。左冠動脈は総動脈幹へ移植、一塊に採取した分枝肺動脈と右室間に6mm 弁付導管を吻合。以降1歳時に水頭症に対し脳室腹腔シャント術を要した他は、気道分泌物の持続吸引を要しながらも緩徐に発達が得られ、座位の保持が可能となりジェスチャーでのコミュニケーションも習得。4歳で9kgを超えると在宅酸素と再三の導管へのバルーン拡大にても肺体血流比0.44と肺血流過少は重度へ。カテーテル検査にて左室拡張末期容積118%正常比、肺血管抵抗2.8単位×m2、左右平均肺動脈圧がそれぞれ17mmHg、16mmHgである事を確認後、4歳3ヶ月時、一時的気切孔閉鎖・経口挿管とした後一方向開窓付きパッチとφ16mmリング付Contegraを用いたRastelli型手術を施行。人工心肺離脱後の右室/左室収縮期圧は19/59mmHg。経過良好に退院し術後4か月の現在、外来通院中である。