[II-S07-03] 先天性心疾患に対する重症心不全治療-機械的補助循環
キーワード:先天性心疾患, 重症心不全, 機械的補助循環
Berlin Heart社のEXCORは、2012年8月から行われた医師主導治験において2015年8月終了までに合計9例の患者に装着が行われ、最終的に装着患者全員が心臓移植へ到達した。2018年6月現在で、治験症例を含めて総計38例で装着が行われており、うち、17例が心臓移植へ到達、5例が離脱し、15例が現在装着中、死亡は1例である。心臓移植までのサポート期間は中央値で320日と欧米の報告と比べて極めて長いにもかかわらず、良好な成績であると考えられる。しかしながら、38例中、先天性心疾患(心筋症との合併を含む)は3例であり、先天性心疾患に対する補助循環の経験はいまだ少ない。一方、アメリカではEXCOR植込み症例中、約3割が先天性心疾患であり、さらにその約3割が単心室循環であったという報告もある。日本においては、小児の心臓移植ドナーがいまだ限られており、機械的補助循環の先の治療が見通せない現状であるが、今後は先天性心疾患に対する機械的補助循環の症例も増加する可能性がある。また、成人先天性心疾患に対する心臓移植適応症例も次第に増加しており、これら成人先天性心疾患に対する植込み型補助循環も増加すると思われる。先天性心疾患に対する補助循環の現在の成績、知見などについて概説する。