[II-TR02-02] 当院における心臓血管外科手術後小児患者の人工呼吸器関連肺炎の現状と課題
Keywords:人工呼吸器関連肺炎, 小児, サーベイランス
【目的】当施設の小児心臓血管外科は年間523件(2016年度)行われており、人工呼吸器管理を要する患者数も同等である。そこで、人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-Associated Pneumonia:VAP)の取り組みの一環として、心臓血管外科手術を受けた小児患者を対象にサーベイランスを開始した。今回、当院におけるVAPの現状とケア改善に関する課題を報告する。【方法】2017年10月~12月、心臓血管外科手術を受けた小児患者を対象にサーベイランスを実施した。呼吸器関連合併症によるICU在室期間の延長に対する介入として、2017年度までに当施設独自の小児VAPケアバンドルを導入し、口腔ケア(2回/日)についても並行して教育を実施した。1ヶ月毎のVAP発生率(VAP発生件数/延べ人工呼吸器使用日数×1000)と器具使用比(延べ人工呼吸器使用日数/延べICU在室患者数)を算出した。VAPの診断は、CDC/NHSNの小児の基準を使用した。【結果】調査期間での対象患者は96名、平均月齢は22.4ヶ月、平均ICU在室日数は4.1日、器具使用比0.75、VAP感染率0.51であった。挿管日数は24時間以下54.2%、25時間以上48時間以下10.4%、49時間以上72時間以下9.4%、73時間以上96時間以下5.2%、97時間以上20.8%であった。全対象患者の半数以上に対して口腔ケア、VAPケアバンドルが実施されていた。NHSN(Pediatric cardiothoracic)と比べて、器具使用比は高く、感染率も高かった。【考察】VAP感染率と器具使用比から、VAPリスクは高いと考えられる。VAP感染率が高いことは、患者背景の要因もあるが、管理方法の見直しによりVAPリスクの低減を推進されると示唆できる。一方で、短期間の調査結果であり、対象患者の背景やVAP診断の手法については検討を行っていく必要がある。【結語】今後もサーベイランスの継続とそのフィードバックを実施していく。その中で小児VAPケアバンドルの改定および管理方法の見直しを行い、VAP感染率の低減を図っていく。