The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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会長要望演題

会長要望演題03(II-YB03)
HLHSに対する一期手術 ノルウッドかハイブリッドか

Fri. Jul 6, 2018 11:00 AM - 11:50 AM 第2会場 (301)

座長:小林 俊樹(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
座長:宮地 鑑(北里大学医学部 心臓血管外科)

[II-YB03-02] 左心低形成症候群に対するHybrid strategyの功罪

藤田 智, 中野 俊秀, 小田 晋一郎, 阪口 修平, 藤本 智子, 岡本 卓也, 満尾 博, 竹本 捷, 角 秀秋 (福岡市立こども病院 心臓血管外科)

Keywords:左心低形成症候群, 手術成績, 手術戦略

【目的】左心低形成症候群に対するHybrid strategyは長期にわたるPGE1投与を回避し待機的にNorwood(NW)手術+両方向性グレン(BDG)手術を目指すことが可能となる治療戦略である。当院における近年の手術成績を検討した。【対象と方法】2008年以降当院でHybrid strategyを選択したHLHS症例15例を対象とした。初回手術時の日齢及び体重は17.6±30.5日、2.6±0.5kgであった。15例中7例はbPABとPDA stent留置を同時施行し、残る8例はbPAB後に日齢94.3±92.8でPDA stent留置を追加した。術前危険因子は低出生体重児(5例)、早産児(3例)、非心臓疾患合併(5例)、ショック既往(3例)などであった。初回手術介入後の観察期間は2.5±1.9年であった。【結果】手術死亡は無く遠隔期死亡を5例認めた。累積生存率は1年86.2%、3年71.8%であった。bPAB後に死亡した1例を除く14例のうち9例(64%)が日齢341±192、体重5.5±2.3kgでNW+BDGへ到達した。9例中1例でBDG take downを要し、術後遠隔期死亡は2例で、1例は左肺静脈高度狭窄の為TCPC不適応と判断された。残る5例がTCPC待機中であるが、3例に肺動脈狭窄残存を認めており2例にBAPを複数回施行、1例にTCPC前のsurgical interventionを予定している。14例中5例(36%)は末梢肺動脈発育不良、冠血流低下による心機能低下やstentのdislocationなどの理由により待機継続が困難となり日齢168±150、体重4.2±1.3kgでNW palliationを施行した。5例のうち2例に遠隔期死亡を認めた。2例は肺動脈狭窄の残存に対して複数回のBAPを施行されており現時点でBDG到達の目処が立っていない。残る1例がBDG待機中である。【結語】ハイリスク症例に対するHybrid strategyは良好な成績であった。しかしながら経過中に低酸素血症の進行、PDA狭窄進行や心機能低下等によりNW palliationへの転換を余儀なくされる症例や、第二期手術到達後も再介入を要する肺動脈狭窄が残存する症例があり慎重な経過観察が必要である。