[II-YB03-03] 左心低形成症候群に対するHybrid治療とPrimary Norwood手術の比較検討
Keywords:HLHS, Hybrid, Norwood
【背景】左心低形成症候群(HLHS)、特にNorwoodハイリスク(HR)群に対するprimary Norwood(pNW)手術とHybrid治療(HB:両側肺動脈絞扼術(BPAB)と動脈管ステント留置術(DS))の転帰の優劣は明らかではない。【目的】HLHS、特にHR群に対するHB治療とpNW手術の転帰の比較。【方法】対象は2000年から2017年に当院で新生児期にHB治療(H群18名)もしくはpNW手術 (N群17名)を施行したVariantを含むHLHS。診療録より生存率、両方向性Glenn(BDG)到達率を含む臨床像を全症例とHR群でそれぞれ評価した。出生時体重2.5kg未満、在胎週数34未満、重症房室弁閉鎖不全、右室EF50%以下、心房間平均圧較差10mmHg以上、染色体異常、緊急手術/DS症例をHR群とした。有意P<0.05。【結果】N群、H群の初回手術時期はそれぞれ中央値で2003年、2014年(P<0.001)。全症例の第一期手術病院死亡率はH群で有意に低く(2例(11%) vs 9 例(53%),p=0.01)、BDG到達率はH群で有意に高かった(13例(72%) vs 6例(35%), p=0.04)。HR群はH群11例、N群8例で、第一期手術病院死亡率はH群2例18%、N群4例50%(p=0.32)で、BDG到達率はH群7例64%、N群2例25%(p=0.17)。生存率は全症例でH群が有意に高く、またHR群では有意差はないがH群の生存率が高かった。【考察】治療時代に差があるが、新生児期のpNW手術は死亡率が高い。HB治療は低侵襲であるがゆえに生存率を上昇させ、高率にBDGへ到達する。症例数が増加すればHR群でも同様の結果になると思われる。【結論】HB治療はHLHSに対してリスクの高低に限らずpNWよりも低侵襲で、有効な治療手段である。