[II-YB04-02] 若手医師をいかに育てるか -中堅小児循環器医師の立場から-
Keywords:若手医師, 教育, 中堅医師
少子・高齢化が叫ばれる昨今、小児循環器医療の維持・発展のためには、次世代を担う若手医師の確保・教育が必要であるが、小児循環器医を志す若手医師を確保するためには、まず小児循環器に興味を持つ若手小児科医を増やすことが必要である。小児循環器のみならず各専門分野は更に細分化されているが、若手小児科医がそれらに触れる機会は少ない。また複雑心奇形など先天性心疾患に対する「食わず嫌い」であることも多く、興味を持つところまで辿り着かないことも多い。今回、敢えて中堅医師の立場で若手医師の教育について論じたい。若手小児科医に興味を持たせ「食わず嫌い」を克服するために、我々は有志で医師以外の多職種や他診療科の医師も含めた初心者向けの小児循環器セミナーを立ち上げ、診断・治療・看護・緩和ケアに至るまで幅広い領域の基礎を学ぶ場を提供し、小児循環器医療の底上げおよび裾野を広げるよう努めている。臨床の現場では、様々なモダリティーの検査があるなかで、敢えて理学所見から病態を把握するという習慣をつけさせ、更に病態によりどのように理学所見が変化するかを十分に討議し、最先端機器がなくても適切な診断ができる医師を育てるよう心がけている。多くの症例を経験させることよりも、一例一例を大切にして病態に沿った討議を繰り返すことで、「分かることの楽しさ」を実感し多くの症例に応用できる力を身につけさせることが重要である。また、医師の中には横柄に振る舞う人もいるが、多職種共同のカンファレンスを通じて連携が重要であることを認識しそれぞれの立場を尊重するとともに、基幹施設で疎かになりがちな紹介医への敬意を忘れることのないよう、社会人としての教育を徹底している。教育には多くの労力が必要であるが、次世代を担う若手医師および現場を支える多くの職種を対象とした教育を通じて、自己研鑽を続けるとともに小児循環器医療の発展に貢献したい。