[II-YB04-03] 能力レベル別マイルストーンは小児循環器専門医を目指す医師に有用か?
Keywords:アウトカム, 専門医, マイルストーン
【背景】小児循環器専門医を目指す医師(以下修練医)のために小児循環器専門医修練目標(以下修練目標)があり,修練医が目標とすべき詳細が日本小児循環器学会HPに記載されている。一方,日本小児科学会では小児科専門医の医師像として5つのアウトカム(子どもの総合診療医,子どもの代弁者など)を設定しこれらを到達目標とすることを提唱している。我々は劇症型心筋炎についてこの疾患を診る上でどのような「能力要素」が要求される可能性があり,能力レベル別のマイルストーン(小児科専門医研修修了時,小児循環器専門医研修修了時,小児循環器専門医の3能力レベル)の設定を日本小児循環器学会雑誌に示した(32, 365-378, 2016)。しかし,我々の示した劇症型心筋炎の15の能力要素(以下劇症の15能力)が,どのようなアウトカムに到達するための能力要素であるかがreview中に明記されていない。【目的】劇症の15能力が修練医のためのアウトカム到達判定に利用できる可能性について検討する。【方法】修練目標には習得目標の大項目として,診療技能,検査の実施と解釈,治療・管理が,行動目標の大項目として診療態度,倫理・医療安全,医療制度,医療統計がある。劇症の15能力(心エコーの経時的変化から劇症化を予測できるなど)がどの修練目標に該当するかについて検討する。【結果】劇症の15能力のうち13で修練目標に該当し,診療技能が1,検査の実施と解釈が8、治療・管理が3,診療態度が1項目で該当した。【考察】劇症の15能力は検査の実施と解釈に偏在しており,倫理・医療安全,医療制度,医療統計に該当する能力要素が存在していない。劇症の15能力の見直しは不可欠であるが,能力別マイルストーンの概念を含む修練目標再考の好機会かもしれない。【結語】劇症の15能力は修練医のためのアウトカム到達判定に利用できる可能性はあるが,修練目標と整合性を持つためには能力要素の見直しが必要である。