[III-MOR13-05] 小児のATP感受性心房頻拍6例に対するカテーテルアブレーション
Keywords:心房頻拍, ATP, アブレーション
【背景】ATP感受性心房頻拍(AsAT)は1997年にIesakaらによって報告された少量のATPに感受性を持ち、弁輪及び心房のマイクロリエントリーを機序とする稀な不整脈であるが、小児での報告は少ない。【目的】小児のAsATの電気生理学的特性及び、治療成績について検討すること。【方法】カテーテルアブレーション(CA)を行なったAsAT 6例について診療録を元に検討した。【結果】以下中央値(最小-最大)。男女比は1:1、年齢は14.1歳(1.9-16.1)、身長156cm(69-173)、体重48.1kg(9.2-63.6)。先天性心疾患合併例はFallot四徴症術後と単心室、Glenn術後の2例で、22q11.2欠失症候群を1例合併。合併不整脈は、洞不全症候群3例、房室結節リエントリー頻拍1例、WPW症候群1例、心房粗動1例、接合部調律1例。発作時心電図は、long RP'が5例で、RP'/PR'=1.62(1.39-2.01)、頻拍周期は297ms(214-594)、自然誘発1例、心房連続刺激2例、心房期外刺激1例、心室連続刺激1例、心室期外刺激1例で、4例で誘発にisoproterenolを要した。頻拍中のATP 0.11mg/kg(0.04-0.36)の投与で全例頻拍周期が延長し停止した。頻拍中のV scanは3例に行い全例reset現象陰性、心室のentrainment pacing(EnP)は2例に行い頻拍再発様式はVAAVパターンであった。differential atrial overdrive pacingを3例に行い全例VA linkingなし。4例で心房のEnPを行い頻拍回路が同定された。頻拍起源は右後中隔3例、右後壁1例、共通房室弁輪2時方向1例、左心耳1例。全例で心房最早期興奮部位への通電で停止し、1例はEnPのorthodromic capture部位への通電で一過性に頻拍が停止した。術後観察期間 8ヶ月(5-16)で急性期成功率は100%であったが、1例は3ヶ月後に頻拍の再発を認めた。重篤な合併症は認めなかった。【結論】小児のAsATは成人と同様の性質を持ち、治療成績は良好であった。再発例はHis近傍の症例であった。