[III-OR35-06] 右室流出路再建術の最適なサイジングとデザイン決定のための術後CTによる検討
キーワード:右室流出路再建術, 弁付きePTFE導管, ラステリ手術
【目的】fan-shaped valveとbulging sinus付きePTFE導管を用いた右室流出路再建術(RVOTR)後の形態と最適なサイジングについて術後CTを用いて検討した.【方法】2014年から2017年に当院でePTFE導管によりRVOTRを施行した36例. 診断はVSD+PA 17例(MAPCA合併11例), VSD+PS 9例, PA/IVS 4例, PTA 4例, CoA/IAA 2例. Rastelli型手術が26例(導管交換が10例)で弁性PS術後の再手術が8例. 手術時年齢は5.5±5.2歳(8ヶ月-23歳), 体重18.3±16kg. 導管径φと症例数は14mm,3; 16mm,4; 18mm,12; 20mm,4; 22mm,9; 24mm,4. 術後CTの導管長軸断面像で以下を計測. 導管の大弯長Gおよび小弯長S, 導管-LCA距離C. RV側吻合部下端を点R, 上端を点R’, PA側上端を点P, 下端を点P’, 直線RR’とPP’の交点を点Oとし, RV側径(RR’), PA側径(PP’), ROPの角度θ. RR’とPP’の中点から導管の中心線上の点へ引いた直線がなす最小角度, 導管屈曲角度δ. PR, RVOT流速をエコーで測定. 中枢側吻合位置によりRV切開群(RV群)とP弁位群(PV群)に分け形態を比較検討した. 【結果】RVOT流速は1.21±0.48m/s(0.6-2.7m/s), PRはmoderateが1例で他はmild以下. Gは平均60.8mmでBSA, φとの相関は無いが,予想大弯長(eG)=2π{(RO+PO)/2}×θ/360°はGとよく相関した(G=1.01×eG, R2=0. 89). RR’はφと相関を認めた(RR’=1.33×φ, R2=0.53). RV群はPV群と比較し有意にROが大きく(p=0.01), POは小さく(p<0.01), θは大きかった(p=0.05). δはRV群で有意に小さく, 導管の屈曲は強かった(p=0.04). RV群で屈曲の強い(δ=98°)一例のみが術中に導管に対するパッチ拡大を要した. C/BSAは平均4.7mmで両群間に有意差を認めなかった.【結語】大弯長は体格や導管径ではなく右室流出路と末梢側肺動脈の位置関係で規定され, CTの計測値から最適な大弯長を予測できる. RV群はPV群と比較し中枢側吻合が前下方のため導管の屈曲や変形を来たし易く, 慎重なサイジングが肝要である.