[III-OR36-05] 病院間連携協力により生直後に手術を施行、救命し得た左室大動脈トンネル(Aortico-left ventricular tunnel)症例
キーワード:左室大動脈トンネル, 医療連携, 新生児
【背景】当院は昨年度の施設移転の際、隣接する母体受け入れ可能病院と施設間通路が作られ、胎児診断、合同胎児カンファレンスなど病院間協力による周産期医療が開始された。今回、母体胎児診断で左室大動脈トンネルと診断された児に対し、病院間連携協力下に生直後病院間搬送し開心術を施行し救命し得た。【事前計画】症例は当院医師による出張胎児診断で在胎35週に左室大動脈トンネル、大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症を指摘された児。トンネル径は7mmと大きく、大動脈弁病変も強いため生直後の高度循環不全が予想されたため、病院間の合同胎児カンファレンスを実施した。当院からは新生児科、循環器科、心臓血管外科、麻酔科、集中治療科、看護部、隣接病院からは産婦人科、小児科、麻酔科、看護部が参加した。患児を予定帝王切開後、同日緊急開心術予定とし、出生から手術までの病院間搬送及び各診療科の動線、役割を協議し、事前シミュレーションも行った。【実際の流れ】在胎38週0日に帝王切開、出生後に新生児科による挿管、並行して循環器科が心エコーで緊急度評価を行い、そのまま当院手術室に搬送、生後16分で手術室入室。麻酔導入、ライン確保時に循環器科が再度エコー評価実施し、心臓血管外科と最終協議を行いそのまま手術となった。生後2時間2分で手術開始、2時間46分で人工心肺開始した。手術は大動脈横切開とし弁上交通孔、大動脈弁変性を認め、交通孔をGA処理自己心膜閉鎖、心房間拡大を施行。開胸PICU管理とし、POD6に閉胸した。【結語】隣接する病院間の連携協力により、重症心疾患症例を生直後に手術、救命し得た。この経験は、今後の周産期医療における病院連携のモデルケースになると考える。