The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

胎児心臓病学

一般口演39(III-OR39)
胎児心臓病学

Sat. Jul 7, 2018 2:00 PM - 2:50 PM 第5会場 (304)

座長:稲村 昇(近畿大学医学部 小児科)
座長:川滝 元良(神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

[III-OR39-03] 妊婦健診補助券への3VV導入前後の胎児診断率の比較検討

岡崎 三枝子1, 山田 俊介2, 豊野 学朋2 (1.秋田大学医学部 循環型医療教育システム学講座, 2.秋田大学大学院 医学系研究科 医学専攻機能展開医学系 小児科学講座)

Keywords:胎児心エコースクリーニング検査, 妊婦健診補助券, 3VV

【はじめに】胎児心エコースクリーニング検査は現在広く普及し、先天性心疾患の出生前診断の向上ならびに出生後の心原性ショックの回避に一定の役割を担っている。秋田県においても胎児心エコー検査は普及しているが十分とは言えず、大血管疾患の出生前診断率が低い。この現状に対し秋田県産婦人科医会のご尽力により、2014年から秋田市以外の全市町村でThree vessel view(3VV)を妊婦健康審査項目妊娠28-31週の補助券に追加、2015年より同検査を全県で導入、さらに2016年より心臓の位置、心臓の軸、4CVが妊娠20-23週の補助券に導入された。検査導入開始から4年経過し、本取り組みの効果と今後の課題について後方視的に検討を行った。【方法】対象は2012年1月-2017年12月に秋田大学小児科に新生児入院を要した複雑心奇形53症例。胎児診断の有無ならびに胎児診断率の推移について検討を行った。【結果】胎児診断率は2012-2013年では胎児診断率35.3%、移行期と考えられる2014-2015年では7.7%、2016-2017年では54.5%と胎児診断率の向上が認められた。3VV導入以前の2013年に胎児診断率上昇が見られたが、大動脈弓疾患や総肺静脈還流異常などの胎児診断の難易度の高い疾患の発生が見られなかったことが要因と考えられた。2016-2017年で胎児診断率の上昇が認められたが、胎児診断後に生後の治療目的での他県への母体紹介症例が含まれておらず、それを含めると58%の胎児診断率と概算された。【考察】妊婦健診における3VVの補助券導入は診断率の向上が見られた。ただし秋田県は出生数も限られており、発生する疾患群の偏りも大きいため、診断率の変動の大きいことが予想される。また大血管疾患や肺静脈疾患の診断率は未だ低く、さらなる胎児診断率向上のための取り組みが必要と考えられた。