The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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一般口演

胎児心臓病学

一般口演39(III-OR39)
胎児心臓病学

Sat. Jul 7, 2018 2:00 PM - 2:50 PM 第5会場 (304)

座長:稲村 昇(近畿大学医学部 小児科)
座長:川滝 元良(神奈川県立こども医療センター 循環器内科)

[III-OR39-05] 胎児期にcircular shuntを呈した症例の検討

亀井 直哉1, 佐藤 有美1,2, 田中 敏克1, 上村 和也1, 瓦野 昌大1, 谷口 由記1, 三木 康暢1, 松岡 道生1, 小川 禎治1, 富永 健太1, 城戸 佐知子1 (1.兵庫県立こども病院 循環器科, 2.加古川中央市民病院 小児科)

Keywords:胎児, circular shunt, 心不全

【背景】胎児期のcircular shuntは、心不全のため早期娩出や出生後早期の手術介入を要する場合がある。【目的・方法】2013年以降胎児心エコーでcircular shuntを認めた症例について検討し、その臨床像を明らかにすること。【結果】胎児エコーで心疾患を認めた363例のうち、circular shuntを呈した症例は5例(Ebstein奇形3例、三尖弁狭窄を伴う肺動脈弁欠損1例、僧帽弁閉鎖不全を伴う大動脈弁狭窄兼閉鎖不全1例)であった。Ebstein奇形のうち2例は、心不全兆候を認め33週で娩出となり、生直後にPA結紮+RA縫縮を施行、その後Starnes手術を行った。もう1例は初診時38週で心不全徴候はなく、39週に経膣分娩で出生。日齢6にStarnes手術を行った。肺動脈弁欠損の1例は34週で初診、肺動脈弁はほぼ逆流のみで、三尖弁は中等度の逆流を認め、かつ開放不良もあり流入血流は少量であった。その後胎児水腫が出現したため35週で出生。日齢1にPA結紮を行ったところ三尖弁流入血流の増加を認め、右室機能はある程度期待できると考え、日齢11に右室流出路再建+体肺動脈短絡術を行った。僧帽弁閉鎖不全を伴う大動脈弁狭窄兼閉鎖不全は19週で初診。左室は低形成で僧帽弁閉鎖不全が高度、大動脈弁は低形成で順行性血流はなく逆流のみであった。26週時に左室は拡大傾向で大動脈弁に少量の順行性血流を認め、逆流は消失していた。その後左室拡大はさらに進行し35週時点で重症大動脈弁狭窄のような所見を呈していたが、心不全兆候はなかった。出生後は両側肺動脈絞扼術を経て生後1ヵ月半で僧帽弁部分閉鎖とノーウッド手術を施行。その後左室容積は徐々に縮小したが、大動脈弁の逆流を再び認めるようになった。【考察】胎児期のcircular shuntの病態は様々であり、心不全兆候の把握、娩出時期の決定には慎重な判断が求められる。また胎児心エコーの経時的所見は、生後の治療戦略を検討する上でも重要である。