[III-S13-02] 小児期に僧帽弁人工弁置換術を施行した患者の再弁置換について
Keywords:人工弁, 僧帽弁再置換術, 遠隔期
小児期 (15歳以下)に僧帽弁置換術(MVR)を施行した症例は、一般に成長に伴い弁のサイズアップのため再弁置換を要する。また、感染、人工弁不全により再手術要する。今回再弁置換について後方視的に検討した。1986年-2017年にMVR施行は79例(男40女39)、手術時年齢は日齢10から13歳(中央値1歳)、経過観察期間は1年から31年(中央値14年)。再置換術は、1回24例(30.3%)、2回4例 (5.1%)、3回2例 (2.5%)であった。再置換術の要因は発育に伴う相対的僧帽弁狭窄17例、stuck valve 6例, 弁逸脱による逆流2例、感染性心内膜炎疑い1例。初回手術から2回まで期間は中央値5年(0-23)、2回から3回までは中央値3.5年(0-20)であった。20年以上の遠隔期に人工弁逸脱により再手術を要した2例を経験したので提示する。【症例1】31歳男性、左側相同心、不完全型房室中隔欠損症、下大静脈欠損奇静脈結合。3歳時に心内修復術施行。術後17日に、重度僧帽弁閉鎖不全 (MR)の為、MVR (SJM27mm)を施行。11歳時(弁置換術後8年)に、大動脈弁下狭窄への筋切除術に伴い僧帽弁再置換術(SJM27mm)を施行し、残存心室中隔欠損あり。31歳時 (弁置換術後28年)に人工弁逸脱による重度MR、心室間短絡増加、心房間短絡出現から肺高血圧となる。弁逆流は左室流出路側のtransvalvularと左室下壁側のperivalvularの2か所から中等度~重度認め、僧帽弁再々置換術、心室中隔閉鎖術、心房中隔閉鎖術を施行。【症例2】33歳男性、先天性僧房弁狭窄症、大動脈弁下狭窄。1歳6か月時に僧帽弁形成術を施行。13歳時にMVR (SJM27mm)および大動脈弁置換術(Konno: SJM 23mm)を施行。以後問題なかったが、36歳時 (MVR術後23年)に僧帽弁逸脱からうっ血性心不全、肺高血圧を来した。僧帽弁逆流は中隔側のperivalvularから重度認め、僧帽弁再々置換術 (SJM 25mm)を施行。【結語】術後20年以上経過した遠隔期に、人工弁の逸脱がおこることがあり注意が必要である。