[III-YB06-04] 超高耐圧バルーンを用いたステントの裂開( unzip)と今後の展望
キーワード:ステント, 超高耐圧バルーン, 動物実験
【背景】乳幼児期に成人の血管径まで拡大出来ない小・中口径ステントを留置せざるを得ない場合、成長にともなうsize mismatchに対して外科治療が必要となる。【目的】小・中口径ステントを超高耐圧バルーンで拡大し、小口径のバルーンでステントを長軸状に裂開 (unzip)可能か検討すること。【方法】1)Bench test;冠動脈用のLiberte stent (LS)と末梢血管用のGenesis renal stent (GS)・Express vascular SD stent (ES)計11個を体外の血管モデルに留置しステント最大拡張径 (MDD)より大きなバルーン径のConquestにより段階的に後拡大し、unzipの有無を確認した。2)Animal Experiment;透視下に上記ステント計7個とOmnilink Elite (OE)1個をミニブタの中小血管に留置。1)と同様に後拡大し、生体内でunzip・造影による血管損傷・組織学的な周囲の血管損傷の有無を確認した。【結果】留置したステント径はbench test・animal experimentともに中央値4mmで1) LS, GS, ESをunzipできる最小バルーン径は、MDDのそれぞれ1.5, 2.2, 1.7倍であった。2)生体内でもunzipは再現性をもって可能でLS, GS, ESをunzip出来る最小バルーン径は、MDDのそれぞれ1.5, 1.8, 1.7倍であった。ES5mm上にOE7mmを重ねて留置してConquest 10mmで両ステントのunzipを試みたが部分的なunzipのみでwaistが残存した。大口径ステントの留置による一期的なステントunzipより、段階的なunzipの後に大口径ステントを留置する必要があることが示唆された。unzip後の造影・組織学的検索ともに周囲の血管損傷を認めず1),2)とも超高耐圧バルーンの破裂は無かった。【結語】MDDの1.5-1.8倍径の超高耐圧バルーンで後拡大することにより、留置後急性期における生体内での小・中口径ステントのunzipは可能であった。今後留置後慢性期にunzipしたステント上に大口径のステントやカバードステントを狭窄なく安全に留置可能か検討が必要である。