[P03-04] 21トリソミーに合併するファロー四徴症の再手術の適応と適切な時期について
キーワード:ファロー四徴症, 21トリソミー, 再手術
【緒言】診断・治療技術の進歩により先天性心疾患患者の生命予後は劇的に改善した。しかし、21トリソミー合併例で術後に残存病変が存在する場合、再手術の適応とその時期については考慮すべき要素が多いため、判断に苦慮することが多い。【目的】右室流出路狭窄(RVOTS)が残存するファロー四徴症心内修復術(ICR)後の21トリソミー4例について後方視的に再手術の適応や時期について検討・考察すること。【症例1】X歳男性、作業所通所中。3歳6か月でICR施行。心エコーでのRVOTS圧較差は12歳時50mmHg、17歳時82mmHgと徐々に増悪。術前の心カテで圧較差は74mmHg。19歳6か月で再手術施行。【症例2】Y歳男性、作業所通所中。1歳1か月でICR施行。心エコーでのRVOTS圧較差は12歳時に75mmHgで再手術を勧められるも家族が難色。後に家族が決心し心カテ施行、圧較差は50mmHg。32歳4か月で再手術施行。【症例3】Z歳男性、作業所通所中。5か月でICR施行。心エコーでのRVOTS圧較差は9歳時に35mmHgであったが徐々に増悪し70mmHgを超えるように。術前の心カテで圧較差は40mmHg。19歳で再手術施行。【症例4】W歳男性、施設入所中で要介護。2歳3か月でICR施行。受診が途切れがちで著しい精神発達遅滞があり診療・検査が困難。心エコーでのRVOTS圧較差は11歳時に44mmHgであったが、27歳時に100mmHgを呈した。安静維持が困難で心臓カテーテルや手術はハイリスクと判断、経過観察中。【考察】21トリソミーに合併する先天性心疾患術後症例に対する再手術では、心臓の原疾患の状態以外に、21トリソミー特有の合併症、患者の生活様式、精神発達遅滞の程度とそれに伴う自己決定権の問題、両親の思いなど複数の要因が絡み、判断が難しい。個々の症例に応じた慎重な対応が必要である。特に症例4のような検査困難症例の方針決定に対してどのようにコンセンサスを得るか課題が多い。