[P05-01] 先天性心疾患による気管枝狭窄が問題となった2例の検討
キーワード:後天性気管支狭窄, 先天性心疾患, 手術
原心疾患の進行や術後の胸腔内で立体構造の変化で後天的に気管支狭窄が発生し換気障害を来すことがある。当院で後天的に発生した先天性心疾患原性の気道狭窄を2例経験したので報告する。症例1)症例は4カ月女児。臍帯ヘルニア、心房中隔欠損と診断され、日齢5と日齢40と二期的に臍帯ヘルニアの腹壁閉鎖術を施行したが、還納した臓器により左肺が圧迫され、心臓は右側に偏移した。抜管困難で、日齢91に抜管した。4カ月頃から再度呼吸状態が不安定になり日齢177に再挿管し、胸部CTで左主気管支が拡大した右肺動脈で押しつぶされ左肺が無気肺となり、心臓の右側偏移が促進されていた。心臓カテーテル検査で原疾患の進行による肺血流の増加が原因と考えられた。日齢204に心房中隔欠損閉鎖術を施行し術後7日に抜管出来た。術後のCTでも左主気管支の狭窄の改善を認めた。症例2)症例は3カ月女児。B型大血管離断複合と診断され日齢14に大動脈修復術と肺動脈絞扼術を施行し、生後2カ月半で心内修復術を施行した。術後右肺の重症MRSA肺炎と左の無気肺を認めた。術後一ヶ月で肺炎は治癒しが左の無気肺は改善せず抜管不可能で、胸部CTで下行大動脈と左肺動脈に挟まれ左の気管支が閉塞し気管支鏡でも確認した。下行大動脈つり下げ術を二度に分けて施行したが狭窄は改善せず、気管切開を施行した。考察)二次的要因による気管支狭窄は希に発生するが定型的な治療方針は確立されていない。原疾患の治療だけで良くなるのか、気管狭窄に対して積極的に介入すべきか判断は困難であるが、今後の参考になればと症例を呈示する。