第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスターセッション05(P05)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:宗内 淳(JCHO九州病院 小児科)

[P05-04] 治療抵抗性の重症肺動脈性肺高血圧症の乳児例

立花 伸也1,2, 鈴木 崇之2, 垣本 信幸2, 末永 智浩2, 武内 崇2, 渋田 昌一3, 竹腰 信人4, 鈴木 啓之2, 小垣 滋豊5 (1.公立那賀病院 小児科, 2.和歌山県立医科大学 小児科, 3.紀南病院 小児科, 4.橋本市民病院 小児科, 5.大阪大学 小児科)

キーワード:肺動脈性肺高血圧, プロスタグランジンI2, 肺移植

肺動脈性肺高血圧症(以下PAH)は予後不良な疾患とされていたが、近年では特異的治療薬の進歩により、予後の改善が報告されるようになっている。しかし一方で治療抵抗性の症例も依然存在する。今回、治療に対しきわめて抵抗性の重症乳児例を経験したので報告する。 症例は7か月女児。やや体重増加不良があり、近医でフォローされていた。自宅で離乳食摂食中に突然顔色不良を呈し、前医に救急搬送された。胸部X線で著明な心拡大を認めた。心臓超音波検査で著明な右室の拡大と左室の圧排、肺高血圧所見を認めたため、管理目的で当科に転院搬送となった。当科初診時、胸部X線で心拡大(心胸郭比63%)、血液検査ではBNP 5909.1pg/mlと著明な上昇を認めた。また、心臓超音波検査において収縮期血圧88mmHgに対し、三尖弁逆流から推測する肺動脈圧は91mmHgに達した。プロスタグランジンI2(PGI2)、エンドセリン受容体拮抗薬、ホスホジエステラーゼ5阻害薬による内服治療を開始し、それぞれを添付文書上の最大用量まで増量したが、肺高血圧所見は改善しなかった。入院管理78日目に嘔吐、顔色不良、酸素飽和度の低下を認め、心臓超音波検査でも肺高血圧所見の増悪を認めたためICUに入室し、一酸化窒素吸入療法を施行した。 その後PGI2持続静注療法を導入した上で、小児病棟に転棟した。しかしその後も肺高血圧の改善はみられず、PGI2も70ng/kg/min以上まで増量したが、十分な効果は得られていない。現在も入院加療を継続しており、肺移植も視野に入れて今後の治療方針を検討中である。