The 54th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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ポスターセッション

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスターセッション05(P05)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 1

Thu. Jul 5, 2018 6:00 PM - 7:00 PM ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:宗内 淳(JCHO九州病院 小児科)

[P05-05] 特発性肺動脈性肺高血圧患者に対する肺移植の経験

馬場 志郎1, 青山 晃博2, 松田 浩一1, 赤木 健太郎1, 吉永 大介1, 陳 豊史2, 鶏内 伸二3, 坂崎 尚徳3, 中山 智孝4, 伊達 洋至2, 池田 義5 (1.京都大学医学部附属病院 小児科, 2.京都大学医学部附属病院 呼吸器外科, 3.兵庫県立尼崎総合医療センター 小児科, 4.東邦大学医療センター 大森病院 小児科, 5.京都大学医学部附属病院 心臓血管外科)

Keywords:肺高血圧, 肺移植, 周術期

【緒言】肺高血圧(PH)症例に対する肺移植が施行され30年弱が経過した。当院においても最近施行した1例を含め14例のPH患者に肺移植を行い、過去13例の5年生存率は84%と良好な成績を得ている。これら経験から肺移植後のPGI2持続投与は段階的漸減中止とすることで、移植後の体外膜型肺使用や二期的閉胸が回避可能で、周術期の循環動態も安定してきている。以上の経験をふまえ、近年施行したPH患者1例の移植後経過を術後起こりうる合併症と発生機序、対処法とともに報告する。【症例】症例は14歳女児。前医より肺移植評価目的で紹介となった。以前の検査と比較してPHは進行しており、PGI2持続投与離脱困難として肺移植適応と判断した。同年に両親の左右下葉をドナー肺とした両肺移植を施行した。移植後は術前投与量25%のPGI2持続投与を再開し、エコーや採血所見から2週間で漸減中止した。術後早期に出現する左心不全は軽度の拡張不全を認めたのみで、鎮静剤投与期間の延長のみで対処可能であった。移植肺の術後早期機能不全からくる右心不全はPGI2持続投与の影響からか認めず、術後しばらくして出現する右室流出路流出路狭窄については術後1ヶ月で認めた。これに対してはカルテオロール内服で対処し軽快した。睡眠時の低酸素が気管切開離脱後から顕在化した。横隔膜の動きが覚醒時は正常であるが、睡眠時の奇異性運動を認め、程度が軽度であることから夜間酸素吸入のみの対処療法とした。その他、十二指腸潰瘍における大量下血による軽度循環不全を認めたものの、輸血と緊急内視鏡のみで対処可能であった。【まとめ】PH患者に対する肺移植後の循環動態に影響する要因は多様であり、術後経過とともに注意すべき点は変化していく。それぞれの要因と対処について習熟することは、今後増加すると思われる様々な移植医療の循環管理において役立つと考える。