第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

集中治療・周術期管理

ポスターセッション08(P08)
集中治療・周術期管理 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:北川 哲也(徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 心臓血管外科学分野)

[P08-03] 先天性心疾患における非心臓手術: スコアリングシステムを用いた術前リスク評価

粒良 昌弘1, 川崎 達也1, 秋田 千里1, 冨田 健太朗1, 大崎 真樹2 (1.静岡県立こども病院 小児集中治療科, 2.静岡県立こども病院 循環器集中治療科)

キーワード:先天性心疾患, 非心臓手術, 周術期管理

【はじめに】先天性心疾患(CHD)には非心臓合併症を17-28%に認めると報告されている。また非心臓手術を要することも多く、特に生後1年以内に心血管手術介入を要するCHD例では、5歳までにその40%が非心臓手術を経験するとされる。非心臓手術においても、様々な病態を呈する先天性心疾患を如何に評価し、リスクを事前に把握するかは重要な課題である。【目的】2016年、FaraoniらによってCHDの非心臓手術におけるリスクスコアリングシステムが報告された。このスコアは死亡をアウトカムとしたスコアであるが、本検討では術後の呼吸・循環不安定にアウトカムを設定し、その有用性を評価することを目的とした。尚、スコアは緊急手術、CHDの重症度、単心室、術前30日以内の手術介入、術前強心薬の使用、術前蘇生事象の既往、急性及び慢性腎障害、術前人工呼吸器の8項目より構成される。【方法】後方視的横断研究。患者: 2014-2017年に当院ICU・CCUに入室した18歳以下の非心臓手術を要したCHD例。除外: 臨床的に問題とならない短絡量のVSD・ASD、残存病変のない根治手術後のCHD例。術前の循環作動薬及び人工呼吸器使用例。気道・横隔膜関連手術例。アウトカム: 術後呼吸・循環不安定の指標として、術後循環作動薬の使用と人工呼吸器管理を採用。【結果】対象は40例、年齢の中央値は3.5歳(IQR: 1.5-6.3歳)、男児23例、体重の中央値は10.0kg(IQR: 6.7-16.9kg)、ICU滞在日数の中央値は3日(IQR: 2-5日)であった。スコアの中央値は1点(範囲: 0-5点)、術後強心薬使用及び人工呼吸器管理を要した例は14例(35%)であった。スコアのROC曲線下面積は0.71(95%信頼区間: 0.52-0.89)、閾値をスコア2点に設定すると感度79%、特異度77%であった。【結語】本スコアは先天性心疾患の非心臓手術における、術後呼吸・循環不安定性のリスク評価に有用である可能性がある。今後大規模症例数での更なる評価が望まれる。