[P08-05] 小児心臓外科手術術後のECPRの検討
Keywords:小児心臓外科手術術後, ECPR, 集中治療
【背景と目的】小児心臓外科手術術後は集中治療対象の中でも著明に循環が変動し、心停止事象に至ることも多い。膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation; ECMO)を用いた心肺蘇生(extracorporeal cardiopulmonary resuscitation; ECPR)での救命が普及しつつあるが、小児心臓外科手術術後のECPRに限定した詳細な報告は、海外を含めてまだ少ない。当院の小児心臓外科手術術後のECPR症例について報告した。
【方法】2010年から2017年にかけて、当院で小児心臓外科手術術後にECPRを行った全症例につき、後方視的に検討した。生存退院群と病院死亡群の2群間で比較した。
【結果】ECPRを行った症例は11例(男児5例、女児6例)、日齢26日(中央値)(2-89)、体重2.7kg(2.1-3.8)、CPR時間45分(10-69)、ECMO期間172時間(56-514)であった。診断は単心室6例(左心低形成症候群4例)、二心室5例で、術式は姑息術8例、根治術3例であった。ECPRを要した理由は体血圧維持困難8例、低酸素2例、難治性不整脈1例であった。転帰はECMO離脱7例(64%)、生存退院6例(55%)で、生存例全例で中枢神経機能は良好に保たれていた(退院時PCPC=1:5例, PCPC2:1例 PCPC1-2:良好)。生存退院群と病院死亡群の比較において、CPR時間は31分(中央値)(10-55)と65分(37-69)P=.028と、統計学的に有意差が認められた。一方、CPR前のアシドーシスや乳酸値には、有意差を認めなかった。
【考察と結語】小児心臓外科手術後のECPR症例において、生存退院率と神経学的転帰は海外報告と遜色ない成績を残せた。しかし、いずれも短期的転帰であり、今後は長期的転帰を含めたさらなる評価が必要である。また、生存退院群は病院死亡群と比較してCPR時間が有意に短かった。転帰改善因子については、CPRの質を含めてより詳細に分析してゆく必要がある。
【方法】2010年から2017年にかけて、当院で小児心臓外科手術術後にECPRを行った全症例につき、後方視的に検討した。生存退院群と病院死亡群の2群間で比較した。
【結果】ECPRを行った症例は11例(男児5例、女児6例)、日齢26日(中央値)(2-89)、体重2.7kg(2.1-3.8)、CPR時間45分(10-69)、ECMO期間172時間(56-514)であった。診断は単心室6例(左心低形成症候群4例)、二心室5例で、術式は姑息術8例、根治術3例であった。ECPRを要した理由は体血圧維持困難8例、低酸素2例、難治性不整脈1例であった。転帰はECMO離脱7例(64%)、生存退院6例(55%)で、生存例全例で中枢神経機能は良好に保たれていた(退院時PCPC=1:5例, PCPC2:1例 PCPC1-2:良好)。生存退院群と病院死亡群の比較において、CPR時間は31分(中央値)(10-55)と65分(37-69)P=.028と、統計学的に有意差が認められた。一方、CPR前のアシドーシスや乳酸値には、有意差を認めなかった。
【考察と結語】小児心臓外科手術後のECPR症例において、生存退院率と神経学的転帰は海外報告と遜色ない成績を残せた。しかし、いずれも短期的転帰であり、今後は長期的転帰を含めたさらなる評価が必要である。また、生存退院群は病院死亡群と比較してCPR時間が有意に短かった。転帰改善因子については、CPRの質を含めてより詳細に分析してゆく必要がある。